「快楽に向かって出発」は2001年の歌です。満族の歌手林依輪は当時、中国で最も開放的な街・広州で活躍していました。
「新しい一日がやってきた。あなたに電話を入れた。『今日はそんなに忙しく働かないで、出かけてリラックスしよう』と。子供のころのように思う存分楽しもう。家に帰るのも忘れるほど、一緒に楽しもう。皆で一斉に電話を切ろう。楽しい明日に向かって出発しよう」
毎日終われる仕事からしばらく離れ、自分のために少し時間をつくり、暮らしを楽しもうという歌詞からも、当時の広州市民の暮らしを伺うことができます。経済が飛躍的に発展を遂げ、活気にあふれていましたが、その一方で人々は、生活に潤いがなくなってきたといえるでしょう。この歌がはやった2001年、北方での生活のリズムはまだ広州のような速いテンポになっていませんが、今改めて聴くと、いつの間にか、私たちも時間に追われる暮らしをしていると気づかされました。携帯電話の電源を切らなければ、ゆっくり過ごすことは出来なくなっています。この歌にはそんな、どこか懐かしさが感じられます。
1978年、中国では改革開放政策が実施されました。以来、広州や香港とつながる深センが、経済発展の先頭に立ってきました。特に80年代から90年代の深センは、中国で最も活気にあふれる街として、夢を追う若者を強く引き付けました。中には、今までと違うメロディや歌詞、いわゆる流行歌を歌う歌手も多く集まり、陳明、毛寧、そしてこの「快楽に向かって出発」を歌う林依輪などが第一線で活躍していました。
これらの歌手は、夢を追いながら、その時代、その街を歌う、多くの優れた歌を創り出しました。(文 朱丹陽)
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