北京外国語大学の厳安生教授(77歳)への叙勲伝達式が6月8日、北京の日本大使公邸で行われました。日本国政府による2015年春の叙勲で、厳教授は中国における日本研究の発展、日本語教育の普及の功績が認められ、旭日中綬章が授与されました。
式では木寺昌人大使が、日本国政府および国民を代表して祝辞を述べました。その中で、日中友好の推進における両国の文化・社会を理解する「架け橋」の重要性を強調し、厳教授と教授が在籍する北京外大および日本学研究センターが架け橋となる研究者、学生の育成に尽力したことに謝意を伝えました。
叙勲後、大使からの花束を受け取る厳安生教授
厳教授は、謝辞の中で日本語との60年にわたる付き合いを、中日関係の発展と変化の歩みと結びつけて振り返り、改革開放後に自らのすべての仕事も努力も「良き時代、良きタイミング、良き人々の恩恵に報いるためのもの」で、「自分に課せられた責務と使命」だとしました。更に叙勲は「中国の日本語教育と研究界に対するものだと受け止めている」とし、「謙虚かつ冷静に受け止め」、「これを弾みに自分が仕事の原点としてきた両国人民間の友好と交流、2つの文化と文明間の末永い相互理解の構築と増進に向け、引続き尽力していく」と決意を表明しました。
謝辞を述べる厳教授
なお、日本国政府による中国人への叙勲には、これまでに北京日本学研究センター元主任教授・李徳氏、元文化次官の劉徳有氏(2000年)、日本文学翻訳家の文潔若氏(2002年)などがあります。(取材:王小燕、王蕙林)
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厳安生教授(中日比較文学)
1937年江蘇省生まれ
1961年に北京外交学院卒業
1979~1981年 日本国文部省(当時)と中国教育部の協定に基づく国費留学生第一期 生として東京大学に留学。日本に留学した近代の中国知識人の精神的な葛藤を描いた『日本留学精神史』(岩波書店)を出版。1992年大佛次郎賞を、1993年にアジア・太平洋賞大賞を受賞
1992~1994年 北京外国語大学日本語学部長
1994~2000年 同大学北京日本学研究センター主任教授
2004~2005年 日本宮城学院大学女子大学客員教授
2006~2009年 日本大手前大学教授
近著に『陶晶孫その数奇な生涯―もう一つの中国人留学精神史』(岩波書店)
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