18日に、日本の市民約100名が国会前に集まり、「『領土問題』の悪循環を止めよう！」と題した集会を開きました。これに先立ち、先月28日に参議院議員会館では、作家の大江健三郎さんを含む市民らが署名した声明が発表され、領土問題の悪循環を止めるよう呼びかけ、領土問題で近隣諸国との緊張が激化することに懸念を示しました。

　歴史問題を正視し、領土問題で周辺国との衝突を適切に解決するよう日本政府に呼びかけるため、市民らは9月28日に、「『領土問題』の悪循環を止めよう！―日本の市民のアピール」と題する声明を発表し、賛同の署名活動を10月17日まで続けました。18日夕方、この市民アピールに賛同した一部の市民が国会前に集まりました。

　この活動を呼びかけた、雑誌『世界』の前編集長である岡本厚さんの話です。

（１）「多くの人が領土問題を心配して、ある思いを持っている。中国と韓国と共に平和に生きていきたいという意志を持っていることを行動で示したい。単にネットや賛同だけで示すのではなく、ここに集まって体でアピールしたいと思って集まった」

　集会に参加した市民は東京、千葉など関東地方からの人が多く、中には社民党の福島瑞穂党首の姿もありました。中日関係の現状について、民主党の橋本勉衆議院議員に話を伺いました。

（２）「現在は厳しい状況に陥ってきていると思う。日本の最大の貿易国は中国だ。中国が日本の製品を買わなくなれば、日本に相当大きな影響を与えてしまう」

　また中日関係が悪化した原因について

（３）「やはり国有化宣言がまずかった。これが大きな原因の一つだ。日本も中国に国有化宣言をされたら怒ると思う。ちゃんと慎重に考えなければならなかった」

　このことについて、集会に参加した社民党の服部良一衆議院議員も同様の見解を述べました。

（４）「いまの野田政権のやり方は最低だ。日本と中国の国交回復以降の互いの信頼関係を傷つけてしまった」

　また今後の中日関係の改善について、服部議員は

（５）「なかなか難しいが外から見たら、日本人は皆ナショナリズムに傾いているようにみえるかも知れないが、中国ときちんとした関係を持たなければならないと考える冷静な日本国民も大勢いる。こういう集まりを一歩一歩広げていきたいと思う」

　署名活動では約2000人の署名が集まりました。これについて、日本国際基督教大学教養学部の千葉真政治学教授は、

（６）「私たちは平和を望んでいるということを機会がある毎に声に出していきたい。政府が同じテーブルにつけるように一般市民が条件を作るべきだと思う」

　集会に参加した一般市民の土井さんの話です。

（７）「近隣の諸国との関係は、これまで話し合いで友好的にやってきたので、今後も続けてやっていただきたいと思う」

　この活動の今後の動きについて岡本さんは、民間レベルで日中、日韓のシンポジウムなどを開催し、民間交流の影響力と効果を拡大していきたいと述べました。（閣、吉野）