東北・関東大震災が発生して以来、福島第一原子力発電所は大きなピンチに直面しています。旧ソ連チェルノブイリ原発事故への対応に倣って、「石棺」で封じ込めるべきだと一部専門家が提案しました。日本の核危機はチェルノブイリ放射能漏れ事故とはどんな区別があるのでしょうか?チェルノブイリの封じ込め経験は福島第一原発にも適用するのでしょうか?これについて、当放送局記者はウクライナ非常事態省チェルノブイリ事故隔離ゾーン管理局の副局長であり、原子力問題専門家でもあるポブロ氏に電話インタビューしました。
福島の原発事故といいますと、1986年の4月26日にウクライナのチェルノブイリで発生した放射能漏れ事故を連想させますが、実は、25年前の史上最悪といわれたこの原発事故と比べると、地震と津波によって引き起こされた日本の核危機は現在、想像されたほどひどくはありません。ポブロ氏は、これについて、「まず、福島第一原発の原子炉は完全に損壊したわけではなく、一部だけが損壊したものだ。一方で、チェルノブイリ原発の原子炉は事故によって完全に壊れた。この点は福島とは実質的に区別がある。次に、福島のいくつかの原子炉では煙や小さな火が上がっただけで、すべての核燃料と設備が焼かれたわけではない。しかし、チェルノブイリの事故では大きな火事が発生し、原発のすべての設備や使用済み廃棄物を積んだ倉庫や燃料などは全部焼かれ、大量の放射性物質が漏洩したのである」と語りました。
現在、福島では外部電源の復旧作業などで進展を遂げていますが全般的な状況はなおも楽観視できません。また、福島の周辺地域や付近の海域でも放射能量の基準値オーバーが検出されたニュースが伝えられています。日本政府も放射性物質の更なる拡散を食い止めるため、封じ込め策を排除しないとの姿勢を示しました。これについてポブロ氏は、「日本の核危機はまだまだ続いている。現在、最悪の状態になったかどうかは私にも判断できない。今、原子炉の温度を下げて、火災再発を防ぐことが急務となっている。このあとで状況がある程度収束できれば、次の段取りを考えるべきだ」と述べました。
福島原発事故の発生を受けて、世界の多くの国では放射能物質の拡散を恐れ、一部ではパニック状態が出たりしています。そして一部の国では、原子力エネルギーの安全性や必要性などについて見直す動きが出てきました。ポブロ氏はこれについて、「私は原子力エネルギーの利用を断固として支持する。いかなる事故の発生も、人々のつらい気持ちや経済損失などマイナスの影響をもたらす。しかし、ポジティブな面もある。それは、事故発生後、どうすべきかが分かるのだ。例えば、チェルノブイリ事故の発生後、人々は核安全に対する認識を高めた。これはチェルノブイリによる最もポジティブな影響だと私は考える」と話していました。
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