国際金融危機の影響を受けて、中国・東部沿海地域の経済の成長が衰え、大量の出稼ぎ労働者が失業し、帰郷せざるを得ませんでした。ところが、今年の旧正月(春節)以降、経済が回復し、逆に労働者が不足するようになりました。企業は賃金を高くするなどの方法で、労働者不足の問題を解決しようとしています。
「世界の工場」と呼ばれている広東省の東莞市では、2008年の第3四半期から、金融危機の影響を受け、多くの企業が破綻し、60万人以上の出稼ぎ労働者が解雇されました。しかし、今、東莞も労働者が不足しています。
福建省の統計によりますと、旧正月の後、泉州だけでも労働者が15万人以上足りなくなり、衣類、陶磁器、靴製造業など労働集約型業界では特に厳しいようです。泉州市労働就業センター就業科の黄潤生科長は次のように語りました。「300社の企業を集め、100の都市へ求人情報を配りに行く。われわれは15万人に就職のチャンスを提供するが、短期間で5万人を引き受けてもらいたい。」
昨年末から、江蘇省は率先にして最低賃金を引き上げました。その後、北京、重慶、東莞、上海、深センなどの都市も最低賃金を引き上げることを計画しています。しかしながら、一部の労働者は「最低賃金を高くしても、実際の収入はそれほど高くなったわけでもない」と見ています。収入の額が気に入らない場合、或いはよい仕事を見つけた場合、彼らは直ちに転職します。西北地区の甘粛省の胡さんは旧正月の前は東莞のある電子企業で働いていましたが、旧正月の後、故郷の近くで就職しました。胡さんの話を聞いてください。
「故郷には多くの工場や炭鉱が多い。故郷での仕事は東莞よりちょっと苦しいが、給料は少し高い。東莞の月給は1300、400元(約1万8000円)だったが、故郷の月給は2000元(約2万6000円)ぐらい」
労働者の求職心理の変化について、中国社会科学院農村発展研究所の李静研究員は「現在、中西部地域は急成長の時期にあることから、労働者にとって魅力が増している。給料が東部沿海地域とほぼ変わらない状況の下で、中西部から出稼ぎに行っていた労働者は故郷の近くの都市で働くことにした。これも労働者不足の原因の一つとなった」と語った上で、こう述べました。
「労働者にとって、就職のチャンスが多くなった。珠江デルタ地域だけでなく、経済の回復につれ、4兆元(約53億円)の投資に伴って、中西部にも多くの就職チャンスが増えている。空港や道路、鉄道などインフラ施設の建設は多くの労働力が必要だ」
専門家は「労働者不足の問題を解決するために、最低賃金基準を引き上げるほか、長期的に安定した給与増額奨励システムを作るべきだ。それと同時に、都市部住民と農村部住民の二元体制を破り、社会保障、子供の就学、および戸籍などの面で農民に権利を与える必要がある」と強調しました。
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