中国は6日、医療衛生体制の改革案を公布しました。この方案は市場化への移行という方法を捨てて、政府が主導する基本的な医療衛生制度を構築し、都市部と農村部の住民を次第にカバーし、最終的に全ての人に医療衛生サービスを提供することを目標としています。これまでの数十年来、中国の医療衛生事業は公益性からスタートし、市場化の道を模索する段階を経て、再び公益性を取り戻しました。この過程は決して、順風満帆ではありませんでした。
1960年代、農村協力医療制度は中国の農民たちに医療面での利益をもたらしました。農民たちは診察や治療を受ける時、僅か一部の費用しか負担していませんでした。1980年、この医療制度は、世界銀行と世界保健機関に「発展途上国が民衆の医療問題を解決する上でのモデル」と評価されました。
農村部の農村協力医療制度と、都市部の公費負担医療と労働保障医療制度は、当時の医療体制の基本的な枠組みとなっていました。しかし、時代の変化につれて、この体制は大きな打撃を受けました。
1978年、改革開放政策が実施された後、計画経済を頼りにしていた農村協力医療制度は主な資金源を失いました。同時に、都市部の公費負担医療と労働保障医療制度も医療資源の浪費や企業への過度な負担などの問題をもたらしました。中国の医療体制は改革を急ぐ必要がありました。
1985年、中国の医療体制改革が正式にスタートし、市場化を目指して、政府の投入縮小や病院の自主権の拡大などを通じて、社会と経済面での収益を両立させる方針を決めました。この改革は中国の医療体制に活力をもたらしましたが、同時に医療費の大幅な上昇などの問題を招きました。1998年、政府は、医療保険制度、医療衛生体制、医薬品生産販売体制の3つの面で改革を行いましたが、市場化という方針を踏襲したため、医療難の問題は依然として解決できませんでした。中国の高強前衛生相は今までの改革を振り返り、「これまでの医療体制改革の中で、最も不足していた点は、医療衛生機構の収益を求めるために、公益性を軽視したことにある。医療衛生事業は、社会の公益と公平を現すべきだ」と指摘しました。
実際のところ、1990年代から、中国の医療体制改革の中で公益性と市場化のどちらを重点にすべきかという論争が続いてきました。新しい医療体制改革案の発表により、その答えも出ました。中国の張茅衛生次官は8日の記者会見で、「公益性と公平性は、改革のスタートラインとゴールだ」と表明し、さらに「全ての人に医療衛生サービスを提供することは、わが国の衛生事業における重大な変革だ」と述べました。
今回の改革案が発表される前、中国は、公益性を方針とする試みを行いました。2003年、「新型農村協力医療制度」がスタートし、重慶市開県の農民、陽倫学さんはこの制度によって実益を受けました。「新型農村協力医療制度は本当にいいですね。私は1年に僅か10元しか払っていないが、腫瘍で入院した時、病院から9000元の補助金をもらった。本当に助かった」と陽倫学さんは語っています。
新型農村協力医療制度に加入した農民に対し、入院した場合の医療費の一部が清算されます。その最高比率は65%に達しています。現在、中国の農村部では新型農村協力医療制度に加入した人口が8億1000万人を超えており、そのカバー率は91.5%に達しました。(翻訳:洋 チェック:大澤)
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