この6日と7日、中国政府は2020年医療衛生システム改革の枠組み案や3年内の改革実施案をそれぞれ公布しました。今回の医療改革は公益性に基づいて、「基本医療衛生システム」を基本とし、民生を重視する政府の姿勢を示しています。そこで中国リポート、今日はこれについてお話しましょう。
かつて1997年に医療改革に関する案が出されたことがあります。当時、医療保障などを含む社会保障は社会主義の市場経済体制の必要から考えられたものです。つまり、企業の負担を減らし、人々の社会保障は、企業ではなく、社会保険につながるというものです。当時の改革案は、経済の発展を基盤にしており、これによって、企業の負担が少なくなり、医薬産業が急速に発展し、病院の設備も医師の素質やレベルなどもレベルアップしたものの、住民の医療費はますます高くなってきたのです。この20年来、農民と都市部住民の収入は20倍近く増えましたが、その負担する医療費用は133倍に上がっているのです。
そこで新しい医療改革案は、民生を重視する政府の姿を示しています。つまり、まず政府が拠出を大きく増やしたことです。事実上、ここ数年、医療衛生に対する政府の投入は大きく増加しています。2003年から2008年にかけて、医療衛生への財政支出の年平均増加率は28%に達し、この時期の財政支出の増加幅を大きく上回っています。また、今回の医療改革案では公共衛生は公共製品であり、これは政府が負担することをはっきりさせています。このほかこれから3年の基本的医療保障のカバー率は90%以上にすることを規定しています。この政策実施で一番利益を受けるのは、農村部住民や都市部の貧困層です。
また、医療資源の平等な分配は政府の民生への重視を物語っています。これまで医療衛生資源のほとんどは大都市や大きな病院にあり、都市部と農村、地域の地域、それに異なる収入層の間には医療保障を受ける面で大きな違いがあります。ですから、新しい医療改革案は資源の配置から着手し、医療サービスの平等化を重点にし、2011年までに、都市部や農村をカバーする基本医療保障制度と基本薬物制度を作って、基本公共衛生サービスを普及させ、2020年までに都市部や農村をカバーする基本医療衛生制度を設立させることを目指しています。これは社会保障システムの健全化にプラスとなり、「病院に行き難く、治療費と薬代が高い」という問題を解決でき、調和の取れた社会作りにも前向きの意義があります。
新しい医療改革案はさらに経済の持続可能な発展を考慮しています。貯蓄率が高いままで、消費が低迷していることは経済成長にとっては問題です。つまり、人々があまり消費しないのは、医療衛生システムを含む社会保障システムが不健全であるからなのです。ですから政府が投入を増やし、医療資源を合理的に配置することは、病気を治すため家計に困るという問題を解決できるばかりか、低収入や一般収入の人々の消費習慣を変え、経済の持続可能な発展に必要な潜在力を掘り出します。
医療改革は世界的な難題です。医療衛生の需要と経済の発展のバランスをどう取るかで、中国政府の知恵が問われ、ゆとりのある社会の建設に影響を与えます。ですから新しい医療改革案の公布は、基本医療衛生の保障が13億人に利益をもたらし、公民の基本権利の一部分になっていることを意味するのです。
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