梅家塢には、中国農業科学院茶葉研究所がありますが、研究所には工場もあり、20名余りの職人さんが手作りで新茶作りに励んでいました。釜は、黄山で「殺青」の体験をしたときと同じ丸いものでした。違うのは手法です。黄山毛峰の場合は、手を右から左へ茶葉を軽く押していきますが、左の端まで来ると、掬い上げて空中に撒き散らします。しかし、西湖龍井は、手前から外に向けて強く押し付ける仕草が目立ちます。そうやって、扁平な形に整えるのです。
西湖龍井は殆ど手作りで作られているため、茶農家は各自の家で製茶するのが多いそうです。朝から茶摘みをし、午後から夜中まで加工するといった流れです。
杭州に到着した翌日の午後、平日のため、茶産地らしい静けさが戻りました。バス停でバスを待っていたら、すぐ横にある家の製茶機が動いている音が聞こえてきました。近づいてみると、中年の夫婦が製茶していました。
「座ったら?茶作り、見たことないでしょ」と、いきなり声かけられました。同じように訛りのある甲高い声でした。
丸い釜のほか、葉っぱを上下に掻き回す四角い機械もありました。二つの機械を交互に使うとのことで、四角い機械は「殺青」、丸い釜は扁平な形に整えるのに使うそうです。部屋の中に入ると、床に直径2メートルほどの平らな敷物に、摘んできたばかりの茶葉が広げられて、寝かせられていました。
「こっちは近くで取ってきたもの。こっちは片道2時間の山奥から取ってきたものよ。常連客のためにこの茶葉で最上級のお茶を作るのよ。香りが全然違うでしょ?」
両方の茶葉を嗅いで見ると、さすがに山奥で摘んだほうは近くで採ったものの3倍の香りがしていました。製茶すれば、その値段はたったの3倍では済まないだろうなと思いました。(文章:王秀閣)
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