早速一杯20元(約250円)の新茶を頼みました。グラスに浮いているお茶の葉が、見る見るうちに若葉に戻っていきます。このお茶の葉たちは、つい前日まで、畑の細い枝について、風に揺られていたのかもしれませんね。
口の中に茶湯を少し吸い込み、舌の上で転がしてみると、新茶ならではの爽やかさとすがすがしい香りが広がってきました。すると、隣のテープルに座るオジさんがいきなり寄ってきて、黙ってグラスを手に取り、2秒ほど止まって香りを嗅いで、「まあまあいいお茶だなぁ」と一言残して席へ戻っていきました。遠慮なし。しかし、不思議なことに、このことで、隣のテーブルとの距離がぐんと近くなりました。
それはともかく、今年の新茶を初めて口にし、本当に爽快感が全身に溢れてきました。
隣のテーブルは、親戚らしき者からなる6人。方言で喋る甲高い声が部屋中に響きわたります。一緒に入ってきたのに、そっちのテーブルには料理が次から次へ運ばれるのに、うちのテーブルには全く来ません。そのとき、私たちのテーブルから、若い男性が、先ほどのオジさんと同じように、隣のテーブルに近づき、ある料理に指差し、「これ何?」と聞きました。「これはね…」と、オジさんが延々と説明し始めました。
「なぜ私たちの料理が来ないの。一緒に店に入ったじゃないの!」と、ごく自然に文句を言い出す自分にも、ちょっぴり驚きました。
「私たちは予約をしてたんだよ。ハハハー」と、返ってきたのは笑い声でした。
いろんな声が飛び交う中、ずっと冷えていた体がいつの間にか、芯まで温かくなってきたのが感じられます。
人の声に負けないように、西湖龍井は一生懸命に香りを出して人を喜ばせてきたのではないでしょうか。きっとそうです。(文章:王秀閣)
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