「中国は期待の大きい市場」
オムロン社の10年間の長期経営構想である「グランドデザイン2010」では、2007年度までに、中華圏での売上は2005年度の3倍増ということを目標に掲げていますが、この高度な目標の実現に山下社長はどのようにしてチャレンジしていくのでしょうか。山下社長の中国駐在体験などを含めて、お話を伺いました。
(06年12月、上海地区の「優れた雇用主」の受賞式で挨拶)
Q 2007年度の目標設定で、特にチャレンジを感じるところはどこですか。また、目標実現の展望について、どのように見ていますか。
A セカンドステージのギアチェンジの投資の300億ドルについては、ほぼ予定通り、設備投資、規模の拡大、試作で進めています。残っているM&Aは今後の検討課題です。2008年以降は中国の中で、投資したお金の回収と、それを使って通常の再投資を行って、事業を拡大していきたいと思っています。
市場自体が拡大していますので、我々の打ち手が本当に生きてくるのかどうか、2007年度の目標を達成することに、今まで使ったお金を有効に活用して、その目標にできるだけ近づくように努力していくと思っています。特に自社の強みを分析しながら、勝てる事業を徹底的に伸ばしていって、中国市場にあった商品を出しながら、目標達成にチャレンジしていこうと思っています。
(06年11月、かち歩き大会・「万歩行」で先頭に立つ)
Q 山下社長は中国に赴任して、どのぐらいですか。
A 一年10ヶ月になります。
Q 上海で生活していて、ご感想はいかがですか。
A 住み心地は良い都市で、何の違和感もなく住んでいます。唯一の問題は言葉です。これはなかなか簡単に目標を立てても、なかなか実現しないのが今の一番の悩みです(笑)。
Q 中国人従業員と日本人従業員に、個性の違いはありますか?
A 中国の皆さんは基本的に、自己主張の強い皆さんではないかと思います。ただ、ぼくのことが怖いようで、あまり言ってくれないですが、できるだけ、気楽に言っていただいたら、嬉しいなと思っています(笑)。
(06年12月、身障者支援事業で大連市の孫広田副市長から授賞)
Q 中国経済の今後の成り行きについて、どのように見ていますか。
2010年は一つのイベントが終わる年で、その時まで、WTO加盟から 2010年を目指して、色んなことが整備していくであろうと思います。そういう中で、高い成長率が緩やかな成長に変わっていくタイミングがどこかで来るのではないかと思います。その時に、本当の競争力が問われると思っています。日本もそういった時期を過ごしていたし、その中に、今の急成長の時に現れたひずみも起こってくるでしょう。
その一例は、五ヵ年計画でも明示されたように、調和のとれた社会を作っていこうとなると、環境などのことに焦点が向いてくるだろうなと思っています。
その辺のところも、オムロン社としては事業機会ととらえていますので、そこに向かって、我々の技術力をもっともっと中国の皆さんに役立たせるように研ぎ澄まされていきたいと考えています。とにかく、非常に期待の大きい市場が中国であると思っています。(聞き手:王小燕)
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