昨年10月に発表された、英国人経済ジャーナリスト、ルパート・フーゲワーフ(中国語名:胡潤)氏による2006年「胡潤版中国長者番付」でトップを飾ったのは、個人資産額270億元の女性企業家・張茵さん。
黒竜江省の生まれで、古紙の回収と再生産で富を手に入れました。1985年、27歳で香港にわたり、3万元の元手で古紙回収事業を開始。品質第一をモットに、パルプに水を入れるという業界のそれまでのやり方を放棄したため、最初は同業者から脅迫を受けたりしました。しかし、それでも信念を曲げることなく、強い信頼を獲得することに成功。1990年2月、アメリカに渡り、同じく古紙回収で会社を起こし、現在は、全米古紙回収輸出の最大手の地位を確立し、中南有限公司を初め、7社の梱包会社と輸送会社を有する企業グループの経営者となりました。
一方、中国は製紙原材料が不足していることに注目、張茵さんは業務発展の重点を中国向けの古紙供給に置き、ついに、中国の再生紙原料供給で7割のシェアを占めるようになっています。1988年、広東の東莞で独資工場である「東莞中南紙業有限公司」を立ち上げ、主として、生活用の紙製品を製造し、販路は全国各地に広まっています。
1996年、中国の高級包装紙は、需要が供給に追いつかない状況が起き、とりわけ、高級のクラフト板紙はほとんどすべてを海外からの輸入に頼っていました。張 茵さんはこうした中からビジネスチャンスを見出し、東莞で高級クラフト板紙を製造する玖???有限公司の創業を決定。1996年12月に、一期目の工事のため、1億1000万ドルを投資した後、1999年7月に、二期工事のために1億1000万を追加投資しました。今後はさらに三期目拡張工事のための追加投資も決定し、三期工事がすべて終了した時には、玖???は百万トン級の生産規模を誇る、世界で指折りの包装用紙のメーカーに成長します。
朗らかな性格で、東莞の12階建てのマンションの一室に住居を構え、「必要以上の贅沢をする必要はない」と笑顔で語り、質素な暮らしぶりを堅持しています。「創業に最も大きな影響を与えた人は?」という問いに対しては、「日本のテレビドラマ・おしんです」、と思いがけない答えが返ってきました。(Yan)
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