「中国で勝ち残ることは、事業発展に不可欠」
オムロン社と中国の交流の歴史は両国が国交正常化した1972年にまで遡ります。1980年代からは中国での事業を本格化し、1994年日系電子メーカとして真っ先に投資性公司を設立し、2002年に上海に現地法人・中国本社を設立し、2004年には域本部の認定も得ました。2006年3月まで、オムロン社は中国で9935人の従業員を持ち、売上は4億1300万ドルに達しています。
オムロン社の中国市場を含めた中華圏での売上は2005年度では、グループ全体の6%を占めていますが、現在、その比率を2007年度までに20%に引き上げていくという目標を掲げて、中国での投資規模を拡大しています。
では、オムロン社は中国市場での事業展開にどのような意気込みをかけているのでしょうか。先日、北京出張中のオムロン中国有限公司中国本社の山下 利夫社長にお話をお伺いしました。
Q オムロン社にとっての中国市場の位置づけはどのようなものですか?
A オムロンは隣国である中国との関係をきわめて重要だと考えています。中国は、今、世界中で群を抜いた経済成長を続けており、2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博など大きなイベントも控えています。今年からは、中国では第11次5ヶ年計画がスタートし、いわゆる「社会の持続的な発展」と「調和ある社会」の建設を目標とし、更なる発展を目指しています。オムロンとしましては、当社のコア技術であるセンシング&コントロール技術を機軸とした新技術による事業拡大をはかり、世界で最も成長を続けているこの中国市場での事業拡大に注力していきます。
Q 中国で事業発展を行う上でのメリットはどこにありますか?
A 13億人の人口があり、非常に規律正しい政治を行われていて、そういう着実な成長ということをやられると、市場が大きく成長していこうとしている、その中で勝ち残ることは事業をやる上で、ぜひ必要なことです。
Q 中国市場での競争をどのように思っていますか。
A 非常に厳しい競争の中にいると思います。ただし、コア技術の部分で我々は自信を持っていますので、それを生かしながらやっていくと考えております。その中で、中国でできること、たとえば、コストの競争力をもっと強化して、我々の技術が生かされる商品を作っていくというところを強化していけば、中国市場でも十分、競争に勝っていけると考えています。
Q 2006年度の中国事業をどのように振り返りますか。
A 2010年までのオムロン社の長期経営構想では、現在は第二ステージを歩んでいます。これは2004年度から2006年度の3年間で、300億円規模の積極投資を中国で行っており、中華圏での売上高はオムロングループの20%を占めるという計画です。また、昨年度のオムロンの中での中華圏の事業比率が6%でしたので、これを3倍以上に拡大させるというのが目標です。この目標達成に向けて、色々な打ち手を打っています。
具体的には、オムロン上海有限公司というインダストリアル・オートメーション事業の拠点を再整備しました。そこには設計、開発、生産、物流、顧客サポートサービスと言ったものづくりに関するすべての機能を集めていると同時に、それをグローバルの中核拠点というふうに位置づけようと考えています。こういったことを通じて、中国の中で本当に中国に立脚した事業を立ち上げていきたいと考えています。
お陰様で、2006年度はほぼ予定をクリアしながら進んでいます。ただ、07年度の目標は高いので、到達するにはもっともっと努力が必要だというのが正直な気持ちです。
Q 2006年度の目標実現を成功させた一番の理由は何ですか?
A まずは、それぞれの事業が一生懸命に頑張っていること。それから、我々と一緒に事業を進めていただけるようなところと手を組んだり、M&Aを行ったりしてきた部分が2006年度に利いてきたことだと思います。たとえば、液晶のメーカーさんとパネルメーカーさんの生産部門を中国にもってくるなどです。このように、既存事業で拡大している部分と、新たにそういった協力関係を作ったことと上乗せになり、今年の目標数値が達成できたと思います。(続く)(聞き手:王小燕)
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