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出発前に日本文化について学習 |
今年2月、14人の中国人青年が日本へ派遣されました。彼らは日本のJICA(独立行政法人国際協力機構)が主催する2007年度「青年研修」のメンバーとして、18日間日本に滞在しました。今回派遣されたのは、「法律」「環境」の分野で活躍している若手幹部候補生。「心身ともに健康であること」「これまで日本に行った経験がないこと」「35歳以下であること」などといった条件にもとづき、中日友好協会などが人選を行いました。
JICAの「青年研修」は、開発途上国の若者を日本に招き、それぞれの国で必要とされている分野の研修に参加してもらい、将来国づくりを担う人材を育てることを目的とした事業です。アジア・太平洋諸国・アフリカ・中央アジアなどから毎年200名前後、累計で3万人以上が派遣されており、教育・保健医療・社会福祉・行政・経済・地域開発・農業などといった分野の研修に参加しています。
今回派遣された14人は、9人が法律研修、5人が環境研修に参加しました。
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日本での研修に期待が膨らむ |
法律研修は2月26日から3月13日までの日程で、会場は東京方面です。国会議事堂や最高裁判所、特許庁といった法的機関を見学したほか、知的財産法や国際取引法など専門分野に関する専門家の講義、日本の法務関係者とのワークショップなどもありました。
環境研修は2月19日から3月7日までの日程です。最近中国では、環境保護と経済発展をいかに両立させるかという問題がクローズアップされています。そうした現状に合わせて、今回は福岡が研修先に選ばれました。福岡の北九州市には全国有数の炭鉱がありましたが、同時に大気汚染や水質汚染も深刻でした。しかしその後、環境問題に取り組み、環境汚染を克服してきた経験があります。また、その経験を活かして、発展途上国に専門家を派遣するなど積極的な国際貢献を行っています。中国で環境問題に取り組む若者たちにとっては絶好の研修先となりした。メンバーは行政やNGO、民間企業などの取り組みを視察してまわったほか、北九州市の「エコタウン」を見学したり、環境フォーラムへ参加したりしました。
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事前オリエンテーションのようす |
出発前、北京で行われた事前オリエンテーションで取材を行いましたが、参加メンバーからは「日本で先進技術を学ぶのはもちろんだが、日本人と交流してみたい」という声が多く聞かれたのが印象的でした。研修期間中は、日本の同業者と交流する機会があるだけでなく、近隣諸国からも多くの人が研修に参加します。日本をはじめとする他国の人たちと交流することは、中国の青年たちにとって非常に有意義な経験といえます。
また、「法律」「環境」の問題は「グローバルイシュー」と言われ、自国だけでは解決できない問題となっています。今回の研修を通して、国境を越えた横のつながりが生まれることも期待されます。
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