北京
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太平洋を挟んで、北西と南東という正反対に位置する東アジアと南米。両地域を結ぶ港の登場に注目が集まっている。ペルーのチャンカイ港だ。
これまで、南米の主要な港といえば、ブラジルのリオデジャネイロとサンパウロ、アルゼンチンのブエノスアイレスなど、いずれも大西洋沿岸にあった。太平洋沿岸には、大型コンテナ船が停泊できる水深の深い埠頭が無かったのだ。そのため、東アジアから向かう船は、南米南端のマゼラン海峡を迂回する必要があり、高いコストがかかっていた。
しかし、11月14日に習近平国家主席とペルーのボルアルテ大統領がチャンカイ港の開港を宣言したことで、この状況は一変するだろう。
チャンカイは、ペルーの首都リマから北に約80キロ離れた町で、最大水深17.8メートルの天然の湾を有している。そのため、超大型コンテナ船の寄港に対応できる埠頭の建設に最適であった。「チャンカイ」がスペイン語の「上海」の発音に似ていることから、縁を感じるという声もある。
チャンカイ港の建設は、2019年1月に中国遠洋海運グループ(世界有数の規模を誇る海運企業、コスコシッピング)傘下の中遠海運港口有限公司がペルー火山鉱業グループと投資協定を締結したことから始まった。中遠海運は、チャンカイに多目的埠頭とコンテナ埠頭、および関連するインフラ施設の建設を開始した。第1期工事で建設された四つの埠頭により、積載量1万8000TEUの超大型コンテナ船の寄港が可能になり、年間100万から150万TEUの積み下ろし量が実現する。
チャンカイ港の開港によって、南米からアジアへの航行時間は45日間から23日間に短縮される。物流コストは20%以上節約され、ペルーでは毎年8000人以上の直接雇用が創出される。もちろん、中国の消費者にとってもメリットがある。中国にとってペルーはブルーベリーやアボカドの最大の供給国であり、ペルー産のキヌア、ブドウ、マカ、アルパカの毛製品なども中国で広く人気がある。こうしたペルーの商品が、より手ごろな値段で購入できるようになるだろう。
そして、チャンカイ港開港の影響は中国とペルーにとどまらず、チリ、エクアドル、コロンビアなどの南米諸国や、日本、韓国などのアジア太平洋沿岸諸国にも恩恵をもたらす。
ペルーのマルコ・バラレソ駐中国大使は、「チャンカイ港は二国間貿易と南米貿易全体の海運と物流の発想を大きく変える」としている。ペルーのレイエス運輸通信相は、「私たちの目標はラテンアメリカのシンガポールになることだ。ブラジル、ベネズエラ、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチンの人々が、ペルーをアジアへの出発港と見なすようになる」と話した。
チャンカイ港開港のニュースは、共同通信の報道によって日本でも注目を集めている。筆者は日本のネットユーザーの、あるコメントに注目した。以下のような内容だ。「米国やロシアと違い、中国は武力を1ミリも使わずに資金と対話だけで影響力を広げている。そのため唯一の平和的大国として世界中から信賴を集めている。昨年開かれた一带一路推進の会議に世界196カ国のうち約150カ国が参加したのは揺るぎない事实だ」
チャンカイ港は一带一路イニシアチブの成果の一例にすぎない。アジアでは、中国ラオス鉄道が全線開通し、良好な成果を挙げている。インドネシアのジャカルタ・バンドン高速鉄道は、現地住民の交通を便利にし、発展をけん引している。アフリカでは、ナイロビ・モンバサ鉄道やエチオピア・ジブチ鉄道などが、東アフリカひいてはアフリカ諸国全体の発展をけん引する重要な通路となっている。さらに、欧州ではギリシャのピレウス港が新生し、欧州第4位のコンテナ港に躍り出るなど、一帯一路の成果は枚挙に暇がない。
14日のチャンカイ港開港当日、中遠海運の大型船「ペルー」が到着し、もう1隻の「新上海」は出港して上海に向かった。効率的な交通構造の構築により、チャンカイ港を起点とする「新時代におけるインカ道」は、太平洋両岸のアジアと南米の共同発展をけん引するものとなるだろう。(CRI評論員)
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