高所から物を投げ他人を死亡させた事件 容疑者に死刑判決＝中国長春

　先ごろから注目されていた中国北東部吉林省の長春市で発生した高所から物を投げ他人を死亡させた事件で、容疑者の周さんに死刑判決が言い渡され、実行されました。この判決は、高所から物を投げ捨てる人への警告となりました。

　被害者の婁さんは大学で法律を勉強し、卒業後北京のある国有企業で法務関係の仕事をしていました。2023年6月22日、婁さんは長春市にいる高校時代の友達を訪ねました。午後10時半ごろ、婁さんはアパート近くの夜市へ夜食を買いに行きましたが、容疑者の周さんはこのアパートの32階の廊下の窓や屋上から前後して8個のレンガを地上に投げ捨て、うち一つが婁さんの額に当たりました。婁さんは病院に搬送される途中、死亡しました。

周被告がアパートの廊下でレンガを投げた場所に積み上げられたレンガ

　長春市検察院は「危険手段による公共安全侵害罪」で周さんを起訴しました。被害者の姉は被害者家族の代理人として、事件審理の全過程に参加しました。

　2023年12月13日、長春中級人民法院（地方裁判所）は「危険手段による公共安全侵害罪」で容疑者の周さんに死刑を言い渡し、終身の政治的権利剥奪、被害者家族に経済損失4万3千元（約92万円）の賠償を命じました。2024年10月21日、中国最高人民法院（最高裁）は周被告の死刑判決に対する再審査を法に基づき審理し、周被告の死刑を承認し、死刑の即時執行を命じました。

　中国の刑法では高所から物を投げ捨てることは違法行為になります。しかし近年、類似の事件が頻発しており、多くの人はこの犯罪行為に対する認識が不足し、建物の外に物を投げ捨てても大事に至らないと思うようです。周被告への死刑宣告は犯罪者に対する厳しい処罰だけでなく、法律教育の普及と警告でもあります。高所から物を投げ捨てることは違法行為であり、他人の生命の安全を無視すると、必ず法律の制裁を受けることになります。（翻訳：任春生、榊原）