北京
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中国中部河南省にある鄭州大学歴史文化遺産保護研究センターが明らかにしたところによりますと、同センターの研究チームはこのほど、これまでの研究成果を踏まえ、前漢時代(紀元前206年~8年)の海昏侯(漢廃帝・劉賀)墓から出土した蒸留器の模造とシミュレーション実験を実施し、酒を蒸留する機能が確実にあることを実証しました。これは中国最古の蒸留酒が現れたとされる元代(1206~1368年)をさらに1000年ほどさかのぼるものです。
△海昏侯墓から出土した蒸留器
鄭州大学歴史文化遺産保護研究センターの韓国河主任は、「この新たな発見は、明代の本草学者・李時珍がその著作『本草綱目』の中で述べた『焼酎は古代の製法ではなく、元の時代から作り始めた』との説を改め、中国最古の蒸留酒の出現時期が前漢までさかのぼり、中国の酒造技術史を書き換えた」と述べました。
中国南東部に位置する江西省南昌市にある海昏侯墓の酒器倉庫から、天鍋(醸造器具)、筒形の器、釜の三つの部分からなる青銅製の蒸留器が出土しました。学界はこれまで、その使い方や蒸留物などについて異なる見解がありました。
これについて、鄭州大学歴史文化遺産保護研究センターの姚智輝教授は、「蒸留器は蒸留酒の製造に用いられるほか、辰砂や花露(香水の一種)の蒸留精製にも用いられる。出土器物の形や質感、原料反応の条件などに基づき、辰砂や花露を蒸留精製する可能性を排除することができる。器物の出土場所、残留物の情報、劉賀の身分、器物の構造設計などの要素を総合的に分析した上、模造装置で異なる原料を使って実験し、十分な実験データを得た後、これが古代の蒸留酒装置であることを確認することができた」と述べました。
また、研究チームは技術分析を通じて、海昏侯墓から出土した蒸留器の天鍋の正しい使い方は取っ手を下に向けることを確認しました。これに基づいて、1:2の比率で器物を模造し、それぞれ無ろ過の固体穀物発酵酒、液体ビール、紹興酒などを原料として、釜の中での蒸留、網にのせて蒸留するシミュレーション実験を実施しました。
姚教授によると、実験の結果、網でも釜の中で蒸留しても、いわゆる蒸留酒製品を毎回得ることができ、蒸留効率はいずれも70%を超えています。海昏侯墓から出土した蒸留器はその大きさや構造、使い方、操作の連続性などの面において、いずれも蒸留酒生産の需要を満たしており、蒸留効率と生産量を確保できるだけでなく、酒の味わいと度数にも配慮しているとのことです。(ZHL、榊原)
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