北京
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中国東部の浙江省嘉興市内の烏鎮で開催中の烏鎮演劇祭の一環として18日に開催されたトークイベントの「小鎮対話」に、日本の演劇界を代表する巨匠である演出家の鈴木忠志さんが特別ゲストとして登壇しました。鈴木さんは今回の演劇祭で公演される、古代ギリシャのエウリピデスの名作『ディオニュソス』を改作した自らの作品についての独自の創作意図や理念について語り、さらに洋の東西の古典演劇形式をどのように融合させたかなどの背景を詳細に説明しました。
鈴木忠志さんが舞台に上げた観客を指導する様子
鈴木さんは「小鎮対話」の場で、自らが開発した俳優訓練法の「スズキ・トレーニング・メソッド」に関心を持つ観客を舞台に招き上げて、身体の使い方や呼吸法を指導しました。観客が鈴木さんの直接の指導を受けたことで、会場は大いに盛り上がりました。イベント終了後、中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)は鈴木さんへの独占インタビューを行いました。
鈴木さんは烏鎮への印象について「コロナ以外の年は毎年訪れています。烏鎮は中国で一番好きな場所で、来るたびに美しくなっていますね」と述べました。また、烏鎮の観光開発に尽力した陳向宏氏に対し「センスがあり、演劇以上に素晴らしい街を作り上げられました」と賞賛しました。
烏鎮演劇祭に伴い実施された「スズキ・トレーニング・メソッド」の実践の様子
鈴木さんの「スズキ・トレーニング・メソッド」は中国でも広く学ばれており、中央戯劇学院をはじめとする多くの劇団や大学に導入されています。鈴木さんは、「非常にうれしいです」と述べ、自らの劇団が拠点を置く富山県での訓練プログラムには毎年150人ほどが世界中から参加しており、今年は初めて中国語クラスが設立されて30人が参加したと紹介しました。鈴木さんは、若手俳優や演劇愛好者に向けて、このプログラムに積極的に参加するよう呼びかけました。
さらに、鈴木さんは『ディオニュソス』における宗教と戦争というテーマについても言及し、古代ギリシャ時代の戦争と宗教の関係を引き合いに出し、現在の不安定な世界情勢にも通じるメッセージを強調しました。
2016年には、北京市郊外の古北水鎮に、鈴木さんの演劇理念と訓練法を教える演劇塾が創設されました。鈴木さんは「烏鎮演劇祭だけでなく、北京の古北水鎮でも大規模な劇場公演が行われており、中国人俳優が素晴らしい演技を披露しています。彼らの演技をもっと多くの人に見せたい」と中国人俳優たちの実力を高く評価しました。(取材:趙雲莎)
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