北京
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中国工程院院士(アカデミー会員)で深セン大学教授の謝和平氏が率いる研究チームは、海水中の塩化物イオンによる副反応や電極腐食に対応するため、新たな分離型の海水直接電気分解による水素製造手法を考案しました。これは、海水中に含まれる複雑な成分の影響を受けずに、海水電解による水素製造理論体系と技術的枠組みを一層充実させることに役立つものとみられています。関連研究成果はこのほど、学術誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』で公開されました。
△深セン大学
海洋は地球上で水素が最も大量に眠る「鉱山」と言えます。海水電解による水素製造は未来のエネルギーシステムを構築するための重要な発展経路とされています。海水を淡水化してから水素を生成する伝統的な間接的水素製造技術は、複雑な海水淡水化プロセスと設備に依存していることから、専有面積が大きく、投資コストが増大し、施工も難しいといった難点を抱えています。
この研究は海水による水素製造において最も厄介な塩化物イオン干渉の難題に対応し、酸化還元メディエーターとなる分離型を導入し、熱力学と動力学の優位性を兼ね備えた陽極反応を利用し、従来の電解水による水素製造過程における酸素発生反応と塩化物イオン反応の競合を巧みに回避し、電気化学的腐食を大幅に低減したとのことです。
同時に、この研究は電解システムの陰極水素発生反応と陽極ヘキサシアノ鉄酸イオンの酸化反応の高効率性を解明し、分離システムにおける酸素の安定的発生の反応メカニズムを明らかにし、新しいシステムが実際の海水環境下で250時間にわたる長時間稼働を実現しました。これにより、謝院士チームは海水淡水化などの前処理プロセス無しに直接電気分解による水素製造の新しい技術体系をさらに広げ、海水直接電解による水素製造の産業化発展に理論的指導を提供できるものとみられています。(ZHL、榊原)
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