北京
PM2.577
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中国中部の湖北省の通城市内でこのほど、2台の車が衝突する交通事故がありました。ところが、目撃者らは親指を立てて、うち1台の白い乗用車の運転手を称賛しました。繁華街で突然に制御不能になった別の乗用車を自分の車で懸命に食い止めて、歩行者や他の車に衝突する大事故を防いだからでした。
この白い乗用車を運転していた杜志軍さんによると、いつものように車を運転して通りかったところ、対向車線で黒い乗用車の前輪が不安定になり、車体が左右に振れて蛇行しながら進んできました。黒い乗用車は他の車に接触した後に、杜さんが運転していた白い車に突っ込んできました。黒い車は杜さんの車と正面衝突しましたが、その後もアクセルが踏まれているようで、白い煙を立て、杜さんの車を押しました。杜さんはすぐに、黒い車が制御不能になったことに気づき、故障したのか飲酒運転なのかと思いました。杜さんは衝突後も、車を動かすことができませんでした。
事故の場所は繁華街で、歩行者で混雑する交差点から100メートルも離れていませんでした。杜さんは運転の経験が豊富で、ブレーキを緩めて後退して、黒い車が交差点に突っ込んだらとんでもないことになると判断しました。杜さんはそのため、懸命に黒い車を食い止めました。
現場を通りかかった市民の張麗さんによると、白い車は黒い車に対抗して、暴走を防いでいました。黒い車から煙が出ていたため、周囲の人は皆、爆発を恐れて白い車の運転手に降りろと叫びましたが、運転手は聞かずに頑張っていたとのことです。
杜さんは、黒い車がいつ爆発炎上してもおかしくないと考えて、周囲の人に警察への通報を頼む一方で、危険から脱出するタイミングを探していました。すると、たまたま現場を通りかかった同僚がいたので、同僚に黒い車のエンジンを止めさせました。エンジンが止まってからようやく車を降りた杜さんが様子を見たところ、黒い車の運転手は手足が痙攣(けいれん)して意識を失っていましたが、足はアクセルを踏み込んだままでした。
その後は、地元の交通警察と救急隊員が到着して対応しました。杜さんは運転手が救急車で運ばれて現場の処理が終わってから、ようやく立ち去りました。救助された黒い車の運転手の夏さんは、「自分はあの時、急に具合が悪くなってわずか数秒で意識を失いました。最初は車を止めようとましたができなくなり、何もわからなくなりました」と言いました。さらに、杜さんの車が自分の車を支えなければ、大変なことになったに違いないとして、命の恩人である杜さんに感謝しました。
杜さんは、「後で考えて怖くなりましたが、後悔はしていません。後ろに人が密集する場所がありましたから、多くの人に突っ込む事故になったはずです。私はやるべきことをやったまでです」と述べました。(Mou、鈴木)
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