北京
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中国の天津市の名門大学である南開大学化学学院の袁明鑑教授とカナダ・トロント大学のエドワード・H・サージェント教授は共同研究を行い、高エネルギー変換効率と高い運転安定性を兼ね備えたペロブスカイト太陽電池装置の製造に成功しました。ペロブスカイト太陽電池はこれまで、高温環境下での運用安定性が低いという課題を抱えていました。今回の成果は次世代の太陽電池技術における重大なブレイクスルーを意味しています。
この研究成果はこのほど『ネイチャー』誌に、「高効率かつ熱安定性を備えたホルムアミジン-セシウム系ペロブスカイト太陽電池」というタイトルで掲載されました。
ペロブスカイト太陽電池装置
ペロブスカイトは独自の結晶構造を持つ材料であり、新型太陽電池などの半導体装置に広く応用されています。ペロブスカイト太陽電池は第3世代光起電力技術とされており、『サイエンス』誌の2013年の10大ブレイクスルーの1つに選出されたこともあります。また、現在の脱炭素化の流れにおいて、エネルギーのグリーン転換を実現する最も有望な光起電力技術の1つでもあります。
従来の高性能ペロブスカイト太陽電池は、製造過程で易揮発性の有機アミン塩添加剤を使用して物質の安定化と結晶形成の制御をしていました。しかし、これらの添加剤は高温条件下で分解しやすく、ペロブスカイト薄膜の化学成分が不安定になるという問題がありました。この難題に対して、袁明鑑教授の研究チームは、より高い熱安定性を持つ合金ペロブスカイトの製造戦略を開発しました。この方法で製造されたホルムアミジン-セシウム鉛ヨウ化物(FACsPbI₃)ペロブスカイト太陽電池装置は、優れたエネルギー変換効率と高温環境下での安定性を示しています。(藍、NARUMI)
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