北京
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中国国産アクションRPG『黒神話:悟空(Black Myth: Wukong)』のプレイステーション5版とPC版が20日午前に発売され、世界中のゲーマーから脚光を浴びています。中国古典小説の「四大奇書」の一つである『西遊記』をモチーフにしたこのアクションRPGの誕生にはどんな逸話や経緯があるのでしょうか。
△アクションRPG『黒神話:悟空』のポスター
『黒神話:悟空』の企画が立ち上がったのは2018年で、それから6年半の「苦難」を経てようやくリリースされました。この「孫悟空」を生み出したのが、中国のゲームスタジオ「GAME SCIENCE」の創業者兼最高経営責任者(CEO)馮驥さんです。
中国の華中科技大学で生物医学を専攻した馮さん。若いころは「ネット依存の少年」で、ゲームをするために大学院受験を諦めました。2005年にゲーム開発会社に入社し企画を担当。壮大なストーリーとRPG要素を併せ持つ昔ながらの格闘2Dアクションゲーム『Dungeon Fighter Online/DFO』の開発に携わり、業界内で一躍有名になりました。
2014年に自らのスタジオ「GAME SCIENCE」を立ち上げ、中国の文化や神話の要素を取り入れた高品質のゲーム開発を決意。2018年2月に『黒神話:悟空』の開発に着手しました。
馮さんによりますと、創作するに至ったのは「必然の結果」で、「中国文化を代表するIP(知的財産)の一つである西遊記と孫悟空は、私たちの世代の集団的な記憶であり、インスピレーションでもある。全世界のゲーマーに中国文化の魅力を体感してもらいたい」とのことです。
長さ13分の『黒神話:悟空』の予告映像が2020年8月20日に公開されると一気に盛り上がり、世界中のゲーマーから「西遊記を最も理解している人にしか生み出せない傑作になるだろう」との称賛の声が寄せられました。
馮さんはこの4年間、人々の期待に応えられない恐れを抱きながら日々を過ごしてきました。「この薄氷を踏むような感覚は、悟空が高いところに立っているのは幸運であると同時に、その足元には万丈の深淵があることを常に想起させる」とのことです。
そして今月20日、世界中のゲーマーが首を長くして待っていた『黒神話:悟空』が発売されました。中国神話を背景とし、陝西省の無形文化財「陝北説書」や山西省の玉皇廟、重慶市の大足石刻、浙江省の時思寺など中国各地の名所旧跡の実際の映像を取り入れ、中国文化を色濃く反映したこの作品は、世界中から予想を上回る注目を浴びています。RPGは長きにわたり欧米に独占されてきましたが、『黒神話:悟空』の誕生は世界のゲーム市場に新風を吹き込み、悟空が世界でどんな伝説を残すのか目が離せません。(Lin、柳川)
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