北京
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太陽光発電は世界のグリーントランスフォーメーションの重要な担い手とされています。北京理工大学など中国の研究チームが協力し、ペロブスカイト・結晶系シリコン積層型太陽電池の製造における技術上の難関をクリアするとともに、変換効率が32.5%で、長期にわたって安定して動作するペロブスカイト・結晶系シリコン積層型太陽電池の開発に成功しました。これに関する研究成果は2日、国際科学学術誌『サイエンス』に掲載されました。
△北京理工大学の研究チームなどが開発したペロブスカイト・結晶系シリコン積層型太陽電池のプロトタイプモジュール。
現在、日常的な生産や生活の中でよく見られる太陽電池は結晶シリコン電池ですが、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換するその変換効率は約26%にとどまっています。一方、ペロブスカイト・結晶系シリコン積層型太陽電池は新型の太陽電池であり、結晶系シリコンとペロブスカイトの2種類の素材を組み合わせて光を吸収するため、従来の結晶シリコン電池に比べて発電コストが低く、変換効率が高いという特徴を持っています。これまで長い間、この新型電池は製造過程でペロブスカイト薄膜の不均一が生じたり、結晶品質が劣ったりするなどの問題が頻発することで最終製品に欠陥が生じ、それが変換効率と耐用年数に影響していました。
このような積層型電池を製造するには、まず結晶系シリコン電池にペロブスカイト前駆体溶液を塗布します。この前駆体溶液が乾燥する際、徐々に結晶核を形成して結晶化し、最終的にワイドバンドギャップのペロブスカイト薄膜となります。
北京理工大学材料学院の陳怡華助教授によると、研究チームはこの革新的な考え方に基づき、1平方センチメートルと25平方センチメートルのペロブスカイト・結晶系シリコン積層型太陽電池を作製しました。この二つの太陽電池の変換効率はそれぞれ32.5%と29.4%で、いずれも従来の結晶系シリコン太陽電池より優れています。また、最大電力点追従テストの結果、サンプルは安定して長期間動作する特徴を示したということです。
この研究成果はペロブスカイト・結晶系シリコン積層型太陽電池の発展の重要な技術的基盤となるもので、その産業化利用を促し、太陽光発電の効率を高め、エネルギーのグリーン・低炭素への転換を後押しするものと見られています。(ZHL、坂下)
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