北京
PM2.577
23/19
長い地球進化の過程で、生命がどのようにして単純なものから複雑なものへと進化してきたかは、科学者にとって探求すべき大きな疑問でありつづけてきました。中国科学院南京地質古生物研究所の「地球生命システムの初期進化」研究チームは最近になり、中国華北地方の燕山地域で見つかった15億6000万年前の「円盤状化石」に対して行った総合的な研究で、難解なものとして知られているこの化石が、これまで考えられていた多細胞真核生物ではなく、微生物の群生であることを突き止めました。
この発見は、先カンブリア時代の古代化石を研究する上で重要な新しい視点を提供するものです。関連する研究成果は最近になり、国際学術誌『ジャーナル・オブ・ザ・ジオロジカル・ソサイエティー』に掲載されました。
中国華北地方の燕山地域で発見された円盤状化石
この研究に参加した中国科学院南京地質古生物研究所の陳凱博士は、「先カンブリア時代の円盤状化石は、地球の初期の地層に広く存在する太古の化石の大きなグループだ。形は単純で、たいていは円形か楕円形をしており、長さはわずか数ミリのものもあれば、数センチのものもあり、卵ほどの大きさの場合もある」と紹介しました。科学者はこれまで、個別の化石の微細構造と内部組成から、大まかな判断として、「多細胞真核生物ではないか」と考えていました。今回の研究チームは、中国の15億6000万年前の燕山地域の地層から出土した466個の円盤状化石について、形態測定、顕微鏡観察、鉱物組成分析を行いました。その結果、化石の内部に細胞構造は見られず、苦灰石、粘土鉱物、有機物などの明暗が異なる層が交互に重なっていることが分かりました。これらの特徴から、早期の円盤状化石は多細胞生物の個体ではなく、一種または多種の微生物とその細胞外基質の集合体、つまり生物学で言う微生物膜であることが示されていました。このような微生物膜は、地球の歴史の初期に広く分布していた可能性があり、生存により適した微小環境を微生物に提供し、極限環境での生存を助けたと考えられます。また、現代の微生物研究でも珍しいものではなく、円形や枝状など規則的な形態を持つさまざまなマクロ構造を形成するとのことです。
陳博士は、「今回の研究は、これらの古代の化石に関するこれまでの誤解を修正するだけでなく、より重要なこととして、先カンブリア時代の生命の形式に対する理解に新たな視点を提供するものだ」と説明しました。(ミン・イヒョウ、鈴木)
KANKAN特集