北京
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歴史は、重要な節目に人々が知恵をくみ取って前に進む力を与えてくれる。中国共産党の第18期第3回全国代表大会(三中全会)で打ち出された「改革の全面的深化」から、現在開催中の第20期三中全会の「改革の更なる全面的深化」に至るまで、中国式現代化建設は新たな歴史的使命を迎えてきた。
世界に目を向けると、現代化を実現した国はわずか20カ国余りに過ぎず、その人口は約10億人だ。14億人以上の中国人が全体として現代化に踏み入るなら、その規模は現在の先進国の総人口を上回り、人類史上で最も規模が大きく、最も困難な現代化建設の一つとなるだろう。このプロセスの中で、国民の立場に立って物事を進めることが、中国式現代化建設と改革の全面的深化の一貫した立脚点であり、出発点であり、価値基準でもある。
中国式現代化は国民の暮らし第一を貫くものだ。国民生活に関わる「些細だが重要なこと」は、政府にとって「最優先事項」である。改革を全面的に深化させ、一つ一つの国策を国民に問いながら、問題解決の鍵を見つける。中国の「国家帳簿」をひもといてみると、毎年、全国の財政支出のうち、約7割以上が国民生活に向けられている。改革を推し進め、発展を促す目的は、結局のところ国民により良い暮らしを送らせるためだ。
——幼児を大切に育てる。中国全国の2023年の就学前3年間の幼稚園入園率は91.1%に達し、2013年より23.6%上昇した。全国の幼稚園数は27万4000ヵ所に達し、そのうち公立幼稚園と政府支援の民間幼稚園の数は23万6000ヵ所を上回り、幼稚園全体の86.2%を占めている。全国で公立幼稚園か政府支援の民間幼稚園に入園した園児の割合は90.8%で、これはすなわち、子ども10人のうち9人が政府支援の幼稚園に通っており、優れた就学前教育を受けているということだ。
——学生を大切に教育。中国では、義務教育や大学などの高等教育の普及率がますます上昇している。9年制の義務教育段階に達している貧困家庭の子どもの就学難は2020年に解消され、「知的貧困からの脱却」に成功した。現在、中国の9年制義務教育の普及率は95.7%で、大学などを含む高等教育の普及率は60%近くに達し、世界第1位となった。2019年に発表された「中国教育現代化2035」では、学習大国、人的資源大国、人材大国の建設が提唱され、2035年までに教育の全面的な現代化を実現し、教育大国に躍進することを求めている。
——働くものの権益を確保。中国の都市部では2013~2023年の間に新規就業者が1億4000万人以上増えた。都市部と農村部住民の所得の増加は経済成長とほぼ歩調をそろえており、中所得層は4億人を超えている。2億5000万人以上が所得税改革による恩恵を受けており、最低賃金は年々引き上げられ、所得分配の格差もますます縮小している。「調整・拡大・増低」、すなわち高所得層の収入を合理的に見直し、中所得層を拡大し、低所得層の増収を図ることで、全国民の「共同富裕」は質の高い発展に伴い、絶えず進展しつつある。
——安心な医療保健を受ける。中国では、基本医療保険の加入者数が2023年末の時点で13億3000万人を上回り、基本医療保険の加入率は安定して95%以上をキープしている。中国は既に世界最大の医療保障システムを構築し、国民に全般的・全周期の医療保健サービスを提供している。省・直轄市・自治区をまたいだ医療機関での医療費直接決済は、今年最初の4カ月だけで7003万6200人に利便性と恩恵をもたらしており、「全面的小康(いくらかゆとりのある社会)」が全国民の健康を支え、国民の満足感、幸福感、安全感が日増しに向上している。
——高齢者の介護に取り組む。現在、中国では60歳以上の高齢者は約3億人で、高齢者が幸せな晩年を過ごすことは、その家族だけでなく、国家にとっての大事でもある。このほど発表された「中国健康高齢化発展青書(2023~2024)」は「ポジティブな高齢観、ヘルシーな高齢化」という新たな理念を打ち出し、「高齢者への対応」と「高齢化への準備」を両立させ、人口の高齢化と健康中国の戦略を融合させながら、モノのインターネット、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、スマート製品などの次世代情報技術を駆使して、高齢者の生活、安全保障、保健とリハビリ、医療衛生などのニーズに対応するスマート化した製品やサービスの提供に力を入れ、養老サービスモデル、デジタル養老介護、シルバー経済など、多岐にわたる中国式養老の新たな取り組みを模索し、スマートで健康な高齢者介護の新業態を育んでいる。
——住宅問題の解消を目指す。中国では、戸籍制度の改革により、新たな都市化建設と農村部の全面的振興が進み、1億4000万人の農業人口が都市部で定住するようになった。各地では保障性住宅の建設と供給が絶えず拡大され、より多くの人々が「安住の夢」を実現した。2019~2023年に全国で22万棟以上の老朽化した住宅が改修され、約1億人の住民に恩恵をもたらした。住むところがあるだけではなく、住み心地の良さを追求することが中国式現代化の有るべき道筋だ。中国はいま、世界最大の住宅保障システムを構築しており、大規模な家電製品の買い替えキャンペーンが行われ、スマートで安全、環境に優しく快適なインテリアと生活用品が消費の新しいポイントになっている。
——弱いものを助ける。近年、中国の社会保障システムは絶えず改善を続けている。データによると、全国で社会保障カードの保有者数は昨年9月末時点で13億7700万人に達し、総人口の97.4%を占める。全国で基本養老保険、失業保険、労災保険の加入者数はそれぞれ10億6000万人、2億4000万人、3億人となった。中国は世界最大規模の社会保障システム、医療保健システムを構築しており、国民は地域、性別、職業を問わず、高齢、疾病、失業、労災、障害、貧困など、さまざまなリスクに直面した際、それに応じた社会保障制度を受けることができる。
国民は国の根本であり、国民が幸せになれば国が安定する。改革は国民のために行われてこそ意義がある。国民に頼った改革であればこそ、モチベーションが得られる。今日の中国は活気にあふれ、調和のとれた安定した国だ。改革の更なる全面的な深化と中国式現代化の道のりに、雨と風はつきものだ。改革はとどまることなく、今日から新たな旅が始まる。(CMG日本語部論説員)
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