中国の科学者 カンブリア爆発の重要な原因を発見

2024-07-15 13:27:46  CRI

 

△海洋バリウムイオンの除去とカンブリア爆発の関係を示す図表(中国科学技術大学提供)

 カンブリア爆発は、古生物学や地質学における未解決の大きな問題の一つと言われています。これまでその誘因は、学界が注目するホットな問題です。

 中国科学技術大学によりますと、同大学の衛煒副研究員、董琳慧博士課程学生、黄方教授らの研究は、初期の動物に有害な作用をもたらしていた硫化物やバリウムイオンが海水から除去され、カンブリア爆発を引き起こしたことを発見しました。この発見は、カンブリア紀初期の海洋の酸化と生命大爆発の間の相互フィードバック・メカニズムについての新しい知見を提供したとみられています。

 従来、カンブリア紀初期に出現したカンブリア爆発は、海洋の酸化と関係があるのではないかと考えられてきましたが、関連する研究で、初期の動物は酸素をあまり必要としなかったことが分かりました。さらに、海洋の酸化はカンブリア爆発の結果であって、原因ではないとの説もあります。すなわち、カンブリア紀初期の海洋酸化の還元変化と生命の大爆発との間にある相互フィードバック・メカニズムは依然として解明されておらず、さらに探求する必要があるとみられています。

 衛副研究員らの科学者はこのほど、中国の揚子江プレート(長江台地周辺)におけるカンブリア紀下部の金属が豊富な頁岩のバリウム同位体データから、エディアカラ紀からカンブリア紀の過渡期に海洋の酸化が徐々に進み、硫酸根(SO42-)の濃度が次第に高まり、それまで蓄積されていた溶解バリウムイオンが重晶石の形で大量に除去されることを発見しました。海水中にある高濃度のバリウムは水生動物の生存率を抑えたことから、動物に有害な硫化物とバリウムイオンが除去され、海洋の居住性が改善され、カンブリア爆発を促したということです。

 この研究成果は先日、中国の英文総合科学誌「ナショナル・サイエンス・レビュー(NSR)」に発表されました。(Lin、榊原)

   

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