北京
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中国に進出した日系企業の団体である中国日本商会は10日午後、北京市内で「中国経済と日本企業2024年白書」の発表会を行いました。白書は、日本企業にとって「中国市場の重要性はいっそう高まっている」とし、中国については「国際市場で競争力を高めるトレーニングセンターの役割を果たしている」と評価しました。
白書は、中国のGDPが日本の4倍になった状況にあって日本企業にとって投資環境は大きく変化してきていると論じ、これまでの製造大国、消費大国からイノベーション大国、エンジニアリング大国になり、変化が速く、競争が激しい中国市場について、「国際市場における競争力を高める、トレーニングセンターの役割を果たしている」と指摘しました。また、中国日本商会が会員企業を対象に行ったアンケートの結果を引用して、「中国経済の発展を見据え、中国を最も重要な市場、もしくは3つの重要市場のひとつとする企業が5割を超えた。日本企業にとって中国市場の重要性はいっそう高まっている」と指摘しました。
席上、中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)記者による「中日の経済協力関係の今後の見通し」に関する質問に対し、本間哲朗会長も小野寺修副会長兼白書委員長のいずれも、「互恵ウィンウィンの関係は維持できると思う」と肯定的に回答しました。
本間会長は「日本の社会は過去30年にわたり、様々な社会的な課題を解決してきた。その過程で得た経験を、今の中国が直面している社会課題に応用するということが日本企業のミッションだと思う」と話した上で、具体的には高齢化や環境への対応、省エネ社会の建設を例に、中国に進出している日系企業がそれぞれの立場で中国社会に提案していると説明しました。さらに、人的資源という観点でも「日中両国は互いに補い合えることができる」との考えを示しました。小野寺副会長は、「ジェトロのアンケートによれば、在中日系企業に競争相手を尋ねたところ、9割近くが中国の地場企業だと答えた。中国企業の競争力が高まっているのは事実だが、日本企業は高い技術力があり、世界で活躍していることも事実である。中国企業関係者や政府関係者からも日本企業と協業したい声をたくさん聴いている」と述べました。そして、環境、ヘルスケア、高齢化対応、省エネなどでの協力の余地を高く評価し、「日本商会としても今後ともこういった分野での協力の深化が重要だ」との考えを示しました。
中国日本商会による「中国経済と日本企業白書」は2010年から毎年刊行されている建議書です。2024年版の白書は、日系企業8312社を対象にまとめたもので、人的交流の円滑化、データの越境管理や政府調達における内外資に対する無差別原則の貫徹などを重点分野として提案をしました。(取材&写真:王小燕、校正:鈴木)
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