浙江省臨海市の旅③ 万里の長城のモデルになった「江南長城」、最澄ゆかりの龍興寺、名物おやつと喫茶

2024-07-04 10:28:37  CRI

 浙江省・臨海市の見どころのひとつが「江南の長城」と呼ばれる台州府の城壁です。東晋の時代から建造が始まり、唐代、宋代の増築・改築を経て、明清代に完成したこの城壁は、軍事的な防壁と洪水対策の2つの機能を併せ持っていました。世界遺産である北方の万里の長城のモデルになったとも言われています。

 よじ登るほど勾配が激しい北京の八達嶺長城などに比べ、江南長城は傾斜も緩やか。現存の城壁は4730メートル。水と緑に恵まれた江南の景色を楽しみながら、ゆっくり散歩するのがおすすめです。

 すぐそばにある紫陽街はレストランや茶館、伝統工芸品の店が立ち並ぶ、およそ1キロメートルの商店街。台州は200種類を超える小吃(軽食・おやつ)があるグルメの町。その中でも人気のひとつが「海苔餅」。ネットでも人気の海苔餅店には、雨の中、大行列ができていました。ホテルの朝食ブッフェにもあった海苔餅ですが、その香りとさっくり感は焼きたてが格別です。

 さて、唐代から清代まで浙江省の都として栄えた台州は、実は日本とゆかりの深い町でもあります。1300年以上の歴史を持つ古刹・龍興寺の入り口には最澄の像があり、「唐代の鑑真和尚の滞在地、日本天台宗開祖最澄の授戒地、日本茶道発祥の地」と書かれた碑が置かれていました。

 奥に進むと見えてくるのが、唐神龍元年(705年)に建立された千仏塔。六面七層の塔の壁には1003体の仏像が刻まれています。

 現在、中国の旅行ブームはどんどん盛り上がり、一大産業になっています。日本人は田舎や自然の中では、不便さをあえて受け入れる傾向がありますが、どんな場所にも便利さと快適さ、そして“写真映え”を求めるのが中国人。寺の一角にも「見佛珈琲」という名のコーヒーショップがあり、ラテアートを楽しむことができました。私たちがオーダーしたのは左から、「空(カフェラテ)、「無(フラットホワイト)」、「楽(ベーゼルナッツラテ)」。かなりおしゃれだと思いませんか?

 浙江省臨海市の旅は、北京や上海を見ただけではわからない、中国の地方の生活や文化を味わえる旅であり、心が落ち着く旅でした。高速鉄道で上海からは約2時間半、杭州からは約1時間半。ぜひ一度、足を延ばしてみてください。

 (文・写真 鳴海美紀)

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