【CRI時評】「航行の自由」の名を借りた「航行の覇権」にノー!

2024-06-02 14:58:24  CRI

 「航行することは『横行する』ことではなく、自由をはき違えてでたらめに行動してはならない」。中国国防部の報道官は記者会見で、米国防総省がこのほど発表した2023会計年度の「航行の自由」報告書を巡る記者の質問に単刀直入に答えた。同報告書によると、米国は2023会計年度に中国を含む17カ国・地域の計29項目の「過度な海洋権益主張」に異議を唱えた。

 どちらも「航行の自由」と呼ばれるが、海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)が規定する「航行の自由」と米国が口にする「航行の自由」は根本的に異なる。前者の出発点は各国が享受すべき公平な海洋権益を守り、グローバルな海洋秩序を守ることであるのに対し、後者のそれは米国の軍事・外交上の利益を保障し、米国の海洋覇権を守ることだ。

 米国は、「航行の自由作戦」について、シーレーン(海上交通路)の安全と商業の繁栄を保障するためと常に口にするが、事実は本当にそうなのだろうか。

 「CRI時評」が公開資料を整理したところ、1991年から2006年までの15年間に、米国防総省が「航行の自由」報告書で中国を「名指し」したのは3会計年度(1992年、1993年、1994年)だけだったことが判明した。その理由は、「米軍艦が中国の領海に侵入する際に事前通知が必要だと米国が認識していない」からだ。これは、米国が世界戦略の重心をアジア太平洋へと移したこと、中国に対する戦略的疑念を深め続けていること、南海を巡るフィリピンと中国の主権争いが熱を帯び続けていることなどの要因と密接に関連している。

 1990年代初頭の南海問題に対する米国の基本政策は、各当事国の領有権主張の合法性についてはいかなる立場も取らず、領土紛争の解決に向けて平和的手段を用いることを強調すると同時に南海での航行の自由に関心を寄せていた。

 オバマ政権が2009年に「アジア太平洋回帰」、2012年に「アジア太平洋へのリバランス」を相次いで打ち出したことで、米国の南海政策は実質的に転換し、かつての「観察者」から「干渉者」へと姿を変え、南海問題にかこつけて中国をけん制するようになった。

 2023年にフィリピンが南海で挑発や騒動を繰り返すようになるにつれて、米軍は南海および周辺地域での軍事行動を強化した。「南海戦略態勢感知計画」の報告書によると、過去1年間に米空母打撃群と水陸両用警備軍の大型編隊が南海に8回侵入し、停留時間、訓練の強度、狙いはいずれも顕著に増強された。少なくとも11隻の攻撃型原子力潜水艦と2隻の戦略ミサイル原子力潜水艦が南海および周辺海域に前後して出現した。

 こうしたことから分かるのは、ワシントンにとって、南海が平静であることは容認できず、意図的にこの地域に緊張を生み出しているということだ。ある専門家が述べているように、米国の「航行の自由作戦」とは、米国が掲げるシーレーンの安全と海上貿易の繁栄とは全く関連がないものであり、米国の世界戦略を推進し米国の安全保障上の利益を守るための軍事的道具なのだ。

 軍事作戦や外交的主張に加えて、米国は「航行の自由作戦」を「合理的」に見せるため、南海地区に対する世論戦を開始した。

 2022年6月にフィリピン現政権が発足すると、米国のメディアは南海情勢に対する誇大宣伝を強化した。いわゆる「現場報道」の現れとして米国の記者がフィリピンの沿岸警備隊船に再三乗船し、中国とフィリピンの船の衝突を撮影し、「役者」と化したことさえあった。そうするのは、いわゆる記者の視点を利用して、中国の正当かつ合法的な権益保護のための行動を「弱い者いじめ」と歪曲(わいきょく)し、挑発や騒動を起こすフィリピンを「被害者」とし、是非を転倒して米国の「航行の自由」を合理化したいためだ。

 戦略国際問題研究所(CSIS)傘下のアジア海事透明性イニシアチブ(AMTI)などの米国の一部のシンクタンクもこの世論戦で「波風を立てる」役割を果たしてきた。

 AMTIは先ごろ発表したいわゆる「環境への脅威」報告書で、中国が南海の環境を破壊していると理由もなく非難し、米国の多くのメディアによって転載された。AMTIのウェブサイトによると、AMTIは米政府から資金援助を受けており、米政府が南海問題を巡る世論操作に利用する「影の道具」と例えられている。米国にはAMTIのようなシンクタンクが他にも数多い。

 実際、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の共同努力により、南海における航行の自由には常に問題は生じてこなかった。米国が「航行の自由」の名を借りた「航行の覇権」を押し広めたことこそが海空の安全保障リスクの根源だ。(CRI論説員)

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