上海市 来月から体外受精などの不妊治療に公的医療保険適用と発表

2024-05-22 14:57:35  CRI

 中国では近年、不妊症の数が上昇を続けていますが、体外受精をはじめとする生殖補助治療は価格が高く、不妊症の人々に多くの負担をかけています。上海市医療保険局はこのほど、人力資源・社会保障局、衛生保健部門と共同で「一部の生殖補助医療を公的医療保険、労災保険の支給範囲に組み入れることに関する通知」を発表し、今年6月1日から採卵、精子採取、人工受精、胚培養、胚移植など12の生殖補助医療サービスに公的医療保険が適用されることになります。

 上海交通大学医学院付属仁済病院生殖医学科の張婷副主任医師は、「多くの患者がこの政策を期待しており、すでに相談に来た患者もいる」と述べ、今回医療保険給付の対象となった12の医療サービスは、生殖補助医療に必要な技術の大部分をカバーしており、患者とその家族の経済的負担と心理的ストレスを和らげることができるとの見方を示しました。

 体外受精を例にとると、体外受精の総費用は第1世代と第2世代が約4万元(約87万円)、第3世代は約6万元(約130万円)で、公的医療保険で清算すれば少なくとも60%の費用を節約できるということです。上海市医療保険局の試算によりますと、被保険者の負担は年間約9億元(約196億円)減る見込みです。

 仁済病院副院長で生殖医学科の孫贇主任は、「中国の不妊症の発病率は年々上昇しており、1950年代には2%であったものが、現在では18.5%まで上昇している。つまり、全国で5000万組の出産可能な年齢の夫婦が不妊症の悩みに直面している」と述べました。また、「上海では、出産適齢期の夫婦の8組に1組が生殖補助医療を必要としており、この技術を医療保険に組み込むことを切望している人は非常に多い。世界の生殖補助技術全体の33.3%が中国で実施されている。上海の生殖補助技術に対する需要は中国国内で最も高く、治療のため上海に来る患者のほとんどは年齢や経済的困難のためだ。今回の医療保険に関する新政策の導入により、『子どもを産めない、産む余裕がない(身体的または経済的な理由などで出産できない状況)』という難題が大きく緩和されることになる」との見方を示しました。(hj、榊原)

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