北京
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北京市の首鋼パークにあるSoReal SF楽園
このほど発表された「2024中国SF産業報告」によると、2023年の中国のSF産業の年間売り上げは前年比29.1%増の1132億9000万元(約2兆4335億円)に達したということです。中国では、SF産業の売り上げ状況に関する統計は2016年に始まりました。同年の年間売り上げは100億元(約2148億円)前後で、2023年のデータと比べると、8年間で11倍以上に成長したことが分かりました。
同報告によると、2023年度の中国のSF産業の分野別から見れば、文化・観光と映画・テレビ関連のSF産業の成長率が上位2位を占めました。文化・観光関連のSF産業の年間売り上げは前年比106.7%増の310億6000万元(約6672億円)で、映画・テレビ関連は同38.8%増の115億9000万元(約2490億円)でした。また、SF書物関連は同4.3%増の31億7000万元(約681億円)で、ほかの分野と比べてそれほど大きくありませんが、SF書物はSF産業におけるIP創作の源だとみられています。中国の「天眼」と呼ばれる世界最大の電波望遠鏡による観測や月探査プロジェクトの「嫦娥」、ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)、量子コンピューターなど、近年、中国が科学技術面で収めた進展と成果は、SF作家に多大な創作のインスピレーションを提供していると言われます。
一方、SF業界では、中国のSF文化の特徴には、全人類の視点から考えること、全人類の共通の夢に焦点を当てること、全人類の共通の危機に対応することなどが挙げられます。中国SF研究センターが発表した「中国SF産業の海外進出報告(2018~2023)」によると、2018年から2023年にかけて、全世界で中国のSF作品に対する検索件数は年々増加し、2023年は2018年に比べて38倍近くに拡大しました。また、中国のSF作品は世界中の科学技術者に革新的なインスピレーション、青少年に科学への探求と好奇心をもたらし、新興産業の導入や新しい消費力の形成にもつながり、国際科学技術の未来創出を後押ししているとみられています。(Lin、野谷)
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