米国が「中国電気自動車脅威論」をあおり立てた経緯

2024-04-24 17:12:03  CRI

 バイデン政権はこのほど、「国家の安全を脅かす」として、中国で製造された電気自動車(EV)を調査すると発表しました。中国の電気自動車がデータを盗むかどうかに関する議論も増えており、電気自動車輸出の伸び率の減速にもつながっているほどです。果たして、中国の電気自動車は本当に国家の安全を脅かすものなのでしょうか。

 あらゆる情報の出どころを見つけるために、私たちは最新の大規模モデル技術を利用して人工知能(AI)データベースを構築しました。世界中から1日6億本以上の記事にリアルタイムでアクセスできます。また、初めてデジタル記者を通じて仮想データベースで手がかりを探してみました。事実の真相は次のようになっています。

 大規模モデルシステムの中で「中国の電気自動車」と「国家安全」をキーワードに検索すると、これまでの30日間に5000本を超える記事がありました。しかし、さかのぼっていくと、検索数はずっと安定しており、昨年7月から徐々に増加し始めたことが分かりました。では、昨年7月に何があったのでしょうか。システムは最も関連性の高い内容を見つけました。それは1通の手紙でした。米国の国会議員4人がレモンド商務長官とブティジェッジ運輸長官宛てに手紙を出したのは、ちょうど昨年の7月でした。しかし、この手紙の中で指摘されているのは中国の自動運転車で、中国企業が米国で最も人口の多いカリフォルニア州で相次いで登録し、車両テストをしており、それはより多くの米国人のデータを収集するためだとしています。本当にそうなのでしょうか。

 われわれはカリフォルニア州車両管理局のウェブサイトでここ2年の全ての車両テストの情報を見つけました。その中の中国企業の車両のデータを見ると、22年は7社の124台、23年には4社の74台でした。この二つのリストを詳しく比較すると、22年に中国企業のトップだった小馬智行(ポニー・エーアイ)は、23年には44台のテストカーと共に姿を消しました。一方で、手紙の中で、小馬智行はデータを盗む代表として取り上げられていました。この企業は本当にこれが原因でカリフォルニア州から追放されたのでしょうか。調べると、同社がやむを得ずカリフォルニア州を離れたのは、なんと22年5月でした。ということは、早い時期から中国企業を追い出していたにもかかわらず、23年7月に国家安全に関わることを口実に以前のことを蒸し返しているのです。車の姿さえないのに、どうやってデータを盗むのでしょうか。矛盾だらけで無実のこのような手紙がなんと米国が中国の自動車を調査するきっかけになったのです。さらに今年1月には、同じくこの手紙の内容をベースに、自動運転車の後ろにひそかに「電気自動車」を付け加えていました。

 矛盾だらけの手紙を基にしている上、自動運転車の概念を勝手に拡大し、コネクテッドカーからスマート自動車、最後には電気自動車へと変え、常に混乱を起こしてきました。その過程で標的性が強くなるにつれて、世論の注目も高まり続けてきました。

 米国が中国の電気自動車がデータを盗むことをこれだけ心配しているなら、米国にはいったいどれだけ中国製の電気自動車があるのでしょうか。今年に入ってからの中国の電気自動車の輸出データを調べると、高い関税などの制裁政策のため、米国に輸出された乗用車の数は無視できる程度のものでした。中国自動車工業協会の付炳鋒常務副会長は、「ほとんどゼロで、米国に販売したという企業を聞いたことがない」と話しています。

 トランプ氏はこのほどの選挙演説で、「メキシコで生産される中国車に100%の関税を課す」と述べ、自身の選挙戦の切り札としました。われわれはBYDの最新の財務報告と産業配置を見つけました。そこには「BYDは年末までにメキシコ工場の立地を確定する予定だ」という情報がありました。情報の発表時期はちょうど2月下旬でした。まさにこの時、米国は中国の電気自動車が国家安全を脅かすと盛んに宣伝し始めました。これは偶然の一致なのでしょうか。中米・中欧関係の研究に長く携わってきたハーバード・ビジネス・スクールのジョン・クエルチ教授は、「中国の電気自動車会社のブランドは現在、米国市場ではほとんど存在していない。メキシコで生産した自動車は米国市場に供給される可能性があり、中国から見れば明らかに良い手だが、米国の自動車業界全体が一夜にして脅威にさらされるため、自然にこれに対する防止制限をするだろう」との見方を示しました。なるほど、中国企業がメキシコに工場を建設することについて、米国は中国の自動車がメキシコから米国に輸出される可能性があるとみているのです。

 米国は概念を混同して、データの安全性に対する人々の懸念を引き起こすことで、中国の電気自動車の米国市場への参入を防ごうとしています。しかし最近、自動車大手各社は依然として中国市場での投資拡大を表明しています。電気自動車は高度にグローバル化された産業であり、公平な競争があってこそ技術が進歩し、開放的な協力があってこそ互恵・ウィンウィンが実現できると言えるでしょう。(閣、藤井)

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