北京
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経済学者出身のイエレン米財務長官はこのほど、米ジョージア州の太陽光電池工場を訪問した際、「中国の新エネルギー産業には、世界の価格と生産モデルの歪みをもたらし、米国の企業と労働者の利益を損なう『過剰生産能力』の問題が存在する」と述べた。そのため、イエレン長官は、米国の企業と労働者が「公平な」プラットフォームで競争できるようにする措置を講じると高言した。
中国を攻撃する前に、イエレン長官は経済学の知識をよくおさらいしておくべきだ。いわゆる生産能力過剰とは、実際の生産能力が市場の需要を上回っていることを指す。しかし現在、人類は厳しい気候変動の課題に直面しており、世界各国はエネルギー転換を強力に推進しており、クリーンエネルギーの需給の間にはまだ大きなギャップが存在する。国際エネルギー機関(IEA)は、2030年には、世界の再生可能エネルギーは電力設備の増加分の80%しか賄えなくなると予測している。中国の権威ある機関のデータによると、2023年の中国の新エネルギー車(NEV)生産・販売はそれぞれ958万7000台、949万5000台で、中国の動力及びその他電池の総生産・販売量はそれぞれ778.1キロワット時、729.7キロワット時だ。これらのデータは、いわゆる「生産能力過剰」がまったく成り立たないことを明確に示している。
中国がいわゆる「世界の価格」を乱しているというのは、事実にもとる言い方だ。経済学の原理は、適正な価格は十分な市場競争によって形成されると教えている。中国の新エネルギー製品が競争力を持つのは、科学技術力、優れた品質及び整った産業チェーンによるものであり、決してダンピングや産業保護などではない。競争で勝てないから攻撃・中傷するという米国のやり方はあまりにもみっともない。
実は、不正競争をしたり、市場価格への人為的介入をしたりしていると言う米国は、自分の姿を鏡で見るといい。例えば、米政府が打ち出した「インフレ削減法案」の中に、米国の消費者が購入する電気自動車(EV)に「懸念される外国の事業体」が製造または組み立てた電池モジュールが含まれている場合、7500ドルの税額控除を受けられないという規定がある。関連規定は公平な競争をゆがめ、世界の産業・供給チェーンを混乱させ、世界貿易機関(WTO)ルールと市場経済の原則にも違反している。米国の同盟国を含む多くの国が次々と反対を表明している。先般、中国は世界の新エネルギー自動車産業の公平な競争環境を守り、ルールを基礎とする多角的貿易体制を守るため、すでにWTOに提訴した。
より深いレベルで見ると、イエレン長官がこのタイミングで奇怪な発言をすることを選んだのは興味深い。英国の「フィナンシャル・タイムズ」は、中国との貿易競争関係は、2024年の米大統領選挙に影響を与える重要な議題の一つだとの見方を示した。イエレン長官が演説したジョージア州は米国の重要な「スイング・ステート(激戦州)」の1つで、近年は新エネルギー車などの産業に力を入れている。イエレン長官が常識に欠けることを言ったのは、対中強硬姿勢を示して地元の関連産業界の支持を取り付け、再選を図る米国指導者のために票を集めたかったにすぎない。
また米メディアによると、米政府筋はイエレン長官が近く訪中すると述べた。一部分析によると、イエレン長官は訪中時、関連議題を大きく取り上げ、産業政策と貿易政策について中国に圧力をかける意向であり、同時に、米国が後続の保護主義政策を打ち出すための勢いをつけることも排除できないという。
現在、世界の新エネルギー産業のブルーオーシャンは広い。昨年の中米首脳のサンフランシスコ会談の際、両国は気候危機対応での協力強化に関するサニーランズ声明を共同で発表した。米国の一部の人たちは、ゼロサム思考の悪循環から抜け出し、中米それぞれの成功が自分たちにとってチャンスであることを認識し、経済法則と市場ルールに基づいて事を運ぶべきだ。これこそが米国自身の産業を強くするための正しい道なのだ。(CRI論説員)
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