鍾睒睒氏 4回連続して中国の長者番付首位も資産は約9%減

　英国人のルパート・フージワーフ（中国名：胡潤）氏が中国で設立した民間シンクタンク「胡潤研究院」は25日、世界の長者番付『2024年胡潤グローバル富豪ランキング』を発表しました。資産総額10億ドル（約1500億円）以上の企業家として世界各国の3279人がランクインしましたが、最も数が多かったのは中国企業家の814人でした。中国は資産が10億ドルを超える企業家が世界で最も多い国でした。第2位は米国で、800人でした。

飲料水メーカーの「農夫山泉」創業者で、会長と社長を兼任する鍾睒睒氏

　飲料水メーカーの「農夫山泉」創業者で、会長と社長を兼任する鍾睒睒氏（70歳）は純資産が4500億元（約9兆4000億円）で、4回連続で中国一の資産家となり、世界ランキングでは21位でした。鐘氏の資産は昨年より9%減少したため、世界でのランキングは前年より6位下がりました。鐘氏が率いる香港上場企業の「農夫山泉」の昨年上半期の業績は好調で、売上高は前年同期比14%、利益は同16%増でした。しかし、傘下のA株上場企業で感染症診断薬メーカーの「万泰生物」の株価が過去1年間に約30%下落し、同社の時価総額は前年同期から350億元（約7300億円）減少しました。

　中国の共同購入ECプラットフォーム「拼多多（ピンドゥオドゥオ）」の創業者で最高経営責任者（CEO）を務める黄錚氏（44歳）は2年連続で、資産が最も急速に増えた中国の企業家になりました。昨年は前年比800億元（約1兆7000億円）増で、今年はさらに1600億元（約3兆7000億円）増で、資産総額が3850億元（約8兆1000億円）に達して初めて中国第2位になりました。胡潤氏は、「思いもよらなかったことに、黄CEOは拼多多を創業してわずか10年足らずで、すでに世界の企業家トップ30に入った。拼多多の時価総額も昨年には初めてアリババを抜いた。中国で現在、海外進出で最も成功しているブランドの1つだ」と表明しました。

　テンセントの馬化騰CEO（53歳）の資産総額は前年よりも10%減少して2500億元（約5兆2000億円）で、中国の資産家として順位を1つ下げて3位になりました。世界では第36位で、順位を5つ落としました。

　全体的に見ると、中国の「10億ドル企業家」の総資産額は合計で19兆元（約400兆円）近くなり、前年よりも15%減少しました。一方で前年より資産を増やした人は241人で、うち55人が「10億ドル企業家の新入り」でした。中国の企業家の「新入り」の数は世界第3位でした。（Yan、鈴木）