北京
PM2.577
23/19
「今日の自動車は車輪の付いたiPhoneのようなもの」「想像してみてほしい。米国の道路を数百万台の中国製自動車が走行し、常に米国の数百万人のデータを収集して、それらを北京に送っている可能性があることを」。想像し難いことだが、この「センセーショナルな言葉」はレモンド米商務長官が発したものだ。
客観的に言えば、米国が中国製自動車に高額の関税を課しているため、米国の街頭で中国製電気自動車(EV)を目にすることはまれだ。米国は昨年12月、中国などで製造・組み立てられたバッテリー部品を使用して2024年に米国で生産されるEVについて、補助金の対象から排除することを発表した。今年2月末には、中国製コネクテッドカーについて、「国家安全保障上のリスク調査」を開始すると発表した。ニューヨーク・タイムズによると、米政府は中国製EVの技術がもたらす「安全保障上の脅威」について調査を開始した。さらに、中国製自動車への関税を25%に引き上げることも検討しているという。
これら一連の出来事を結び付けてみると、レモンド氏の発言は単なる「センセーショナルな言葉」として片付けられないように思われる。レモンド氏が中国製EVに対する米国社会の敵意をあおる背景には、経済的要因と政治的意図の両方がある。「車輪上の国」とも呼ばれる米国の自動車産業は、20世紀に世界をリードしたが、21世紀になると衰えつつある。その一方で、中国の自動車メーカー、比亜迪(BYD)が、昨年第4四半期のEV販売台数で米テスラを抜いて初めて世界トップに立ち、米国の一部の人間を「針のむしろに座らせた」。レモンド氏が誤った情報を流布する主な目的は、米国が関連する保護主義政策を世に出すために世論を形成し民意を操ることだ。また、ちょうど米大統領選が行われる今年にホワイトハウスが中国のEV産業を抑圧する政策を打ち出し、レモンド氏が何度も中国製自動車の「脅威」を誇大宣伝するのは、米国の自動車産業と自動車労働者層に迎合してより多くの票を獲得するためだとの分析もある。
経済グローバル化が進む今日、自由競争が基本ルールであり、「あなたの中に私がいて、私の中にあなたがいる」という言葉もあるように、各国の経済が緊密に結び付いているのが「常態」だ。米アップルのスマートフォンが米国単独で製造できないように、米国が「真空」状態下で自国のEV産業を発展させ壮大にすることも不可能だ。「デカップリング」を強行することは、米国市場の自動車製品価格をより上昇させるだけでなく、米国社会の内燃機関車からEVへの移行を遅らせることにもなる。結局のところ、損なわれるのは米国の消費者の利益と産業の競争力だ。それ故、米国のメディアは「現実をはっきりと認識せよ。現状、中国を避けるのはほとんど不可能だ」と指摘している。(CRI論説員)
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