中国の研究者 高耐疲労性3Dプリントチタン合金を開発

　中国科学院金属研究所のチームがこのほど、耐疲労性の高い3Dプリントチタン合金素材を開発しました。将来的には宇宙での利用が期待されています。関連成果は29日刊行の国際的な学術誌「ネイチャー」に発表されました。

中国の研究者が開発した高耐疲労3Dプリントチタン合金

　チタン合金は3Dプリント技術で直接に形成した場合、理想的な状態ならば合金本来の超高耐疲労性を持ちます。しかしこれまでの方法では、プリント過程で発生した気孔などにより、耐疲労性が大幅に低下することになってしまいました。中国の研究者はチタン合金素材の高温実験を通して、気孔発生を有効に抑制できる熱処理プロセスにおける貴重な回避方法を発見し、そのことを土台にして欠陥と組織を段階的に調整・制御する新たな手法を開発し、最終的に気孔がほとんど発生しないチタン合金素材を作りだしたとのことです。

　この素材は検査の結果、チタン合金の耐疲労強度が当初の475メガパスカルから978メガパスカルに向上していることが分かりました。この新技術を利用することで、同じ荷重での3Dプリントチタン合金の耐疲労寿命を当初の10倍から100倍に高めることができます。同じ期待寿命であれば、耐えられる荷重は10％から15％増加するとされます。（Yan、鈴木）