北京
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「暑さ対策用のミスト放出傘がほしい」「暗い夜道は怖い。光る傘がほしい」――。傘製造工場を経営する38歳男性の雷鵬琳さんには、こんなメッセージが時おり寄せられます。雷さんは寄せられた声から得たヒントを傘の設計に反映させて、レーザーで色が変化する「反射傘」、「扇風機付き傘」、「釣り用パラソル」など、さまざまな新商品を開発しました。最近では動画投稿アプリで、このような奇抜な傘商品の人気が急上昇しています。雷さんは1年間、ネットユーザー90人の要望に応えたことで、多くの若い顧客を得るとともに、工場が直面していたデッドストックの危機を脱して、2023年には120万本以上の傘を販売しました。最近では「アニメ界」への進出も成功させて、製品がさまざまなアニメフェアで姿を見せるようになりました。
若者の求めへの「直接対応」で傘工場を苦境から救った雷鵬琳さん
雷さんは中国中東部の河南省洛陽市の出身で、中学卒業後に大衆食堂でマントウづくりの見習いをしたこともあります。その後、友人の紹介で中国東部の浙江省にある傘製造工場で働くようになりました。最初は生産ラインの一般労働者でしたが、作業場管理者、工場長、トップセールスマンへの道を歩み、入社10年後には社長を務めるようになりました。そして2014年には独立して、自分の傘製造工場を創業しました。最初は輸出業者や小さな会社に製品を卸して1日に数千件の注文を受けるなど、商売は大いに成功しました。しかし市場競争が厳しくなったことで、1日の出荷量は7割も減り、会社は倒産の危機に直面しました。雷さんは新たな道を探さざるをえなくなりました。そして2019年に動画投稿アプリにアカウントを設定して、ライブ配信によるネット販売を試みました。雷さんはある日、紙ナプキンの商品を紹介する動画を見ました。最初から最後まで言葉は一切使わずに、登場人物の動作だけで商品の長所を示す動画でした。しかも、その動画には多くの「いいね」が寄せられていました。雷さんは、「このやり方はいける」と考え、身体の大きな動作で傘の性能を示すことにしました。
現在では、雷さんが経営する傘の製造工場はますます注目を集め、販売量も大幅に増えています。雷さんは、「2023年は最も良く売れた1年でした。120万本以上も売れて、売上高は10倍に達しました」と話しました。(殷、鈴木)
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