2024年中国本土映画興行年間ランキング(1位~10位)

2024-01-06 19:29:55  CRI

 国家電影局の最新の統計によると、2023年に中国全土で公開された全映画作品の興行収入は549億1500万元(約1兆899億円)で、コロナ規制の全面解除によって2022年より約80%増え、映画市場は全面的な回復を果たしました。また、都市部の映画館では年間観客動員数がのべ13億人になり、前年の約2倍に上っています。

 年間チャートを制したのは、2023年の春節(2023年1月22日)に合わせて公開された張藝謀(チャン・イーモウ)監督の時代劇アクション『満江紅(Full River Red)』。この作品は2023年10月に開催された第36回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門に選ばれ、日本上映も果たしました。同時に、チャン監督は同映画祭で特別功労賞も授与されました。また、2023年9月に公開されたチャン監督のもう1本の作品『堅如磐石(Under the Light)』が9位にランクインしたことにより、チャン監督はこの2023年に最も売れた映画監督になり、2作品共に年間トップ10入りを果たす快挙も成し遂げました。

~集計期間:2023年1月1日~12月31日 単位:万元~

 

~作品紹介~

【1位】満江紅(Full River Red)
公開日:2023年1月22日
監督:張藝謀(チャン・イーモウ)
主演:瀋騰(シェン・タン)易烊千璽(イー・ヤンチェンシー)張譯(チャン・イー)雷佳音(レイ・ジャーイン)王佳怡(ワン・ジャーイー)岳雲鵬(ユエ・ユンポン)

 日本公開も果たした『SHADOW/影武者(原題:影)』(2018)以来5年ぶりとなる、張藝謀(チャン・イーモウ)監督の時代劇アクションが年間1位の座に!タイトルの「満江紅」とは、中国古代の文学作品・宋詩の詞牌のことで、中でも南宋時代の愛国武将・岳飛(がくひ)が書き下ろした『満江紅・怒髮衝冠』が最も有名です。本作はその岳飛にちなんだ物語で、岳飛の死後4年が経ち、姦臣として知られる南宋の宰相・秦檜(しんかい)らが計画していた会談の前夜、悪の勢力を一掃するために集結する正義の男たちの活躍を描いています。

【2位】流浪地球2(The Wandering Earth Ⅱ)
公開日:2023年1月22日
監督:郭帆(グオ・ファン)
主演:呉京(ウー・ジン)李雪健(リー・シュエジェン)劉徳華(アンディ・ラウ)沙溢(シャー・イー)

 劉慈欣(りゅう・じきん)の同名小説を原作とした2019年の話題作『流転の地球(原題:流浪地球)』の続編が年間2位となりました。本シリーズは、2000年に発表され日本でも翻訳出版された劉慈欣の短編小説「流浪地球(さまよえる地球)」を映画化したもので、太陽がこの先数百年以内にヘリウム・フラッシュ(大爆発)を起こして赤色巨星化するという危機に直面した人類が、「地球を連れて」太陽系脱出計画に乗り出すというドラマチックなストーリーとなっています。今作は「2」と題する続編ではありますが、物語は前作の前日譚にあたり、人類が未曾有の危機を前に、太陽系脱出計画の前身である「移山計画)に挑む様子を描いています。

【3位】孤注一擲(No More Bets)
公開日:2023年8月11日
監督:申奥(シェン・アオ)
主演:張藝興(レイ)金晨(ジン・チェン)咏梅(ヨンメイ)王伝君(ワン・チュエンジュン)王大陸(ダレン・ワン)

 韓流グループ出身のトップアイドル・張藝興(レイ)が主演を務める新作が年間トップ3入りを果たしました。本作は実在の詐欺事件を題材にした犯罪サスペンスで、就職詐欺の罠にかかり海外に渡ったあと、監禁と強制労働に巻き込まれる若い男女の脱出劇を描いたものです。レイがプログラマー役を演じているほか、脚本にも参加しました。

【4位】ロスト・イン・ザ・スターズ(原題:消失的她)
公開日:2023年6月22日
監督:崔睿(ツゥイ・ルイ)劉翔(リウ・シャン)
主演:朱一龍(チュー・イーロン)倪妮(ニー・ニー)文咏珊(ジャニス・マン)杜江(ドゥー・ジアン)黄子琪(ホァン・ズーチー)

 2023年4月の北京国際映画祭のメインコンペティション部門「天壇奨」最優秀長編映画にノミネートを果たした話題作は、1990年の旧ソ連映画『A Trap for Lonely Man (原題: Ловушка для одинокого мужчины)』が原案のクライム・サスペンスです。結婚記念日の旅行中に行方不明になった妻を探して駆け回る男、その目の前に現れたのは“妻”を自称する見知らぬ女。夫婦の秘密と事件の真相に迫るストーリーです。

【5位】封神~嵐のキングダム~(原題:封神第一部:朝歌風雲)
公開日:2023年7月20日
監督:烏爾善(ウー・アルシャン)
主演:費翔(クリス・フィリップス)李雪健(リー・シュエジェン)黄渤(ホァン・ボー)于适(ユイ・シー)陳牧馳(チェン・ムーチー)夏雨(シャー・ユイ)袁泉(ユエン・チュエン)娜然(ナー・ラン)

 ファンタジーアクション大作、実写版『封神演義(ほうしんえんぎ)』三部作の第1弾が2023年の夏を大いに盛り上げていました。メガホンを取っているのは『妖魔伝 レザレクション(原題:畫皮II)』(2012)や『ソード・ロワイヤル(原題:刀見笑)』(2011)などのアクション大作で知られる烏爾善(ウー・アルシャン)監督。メインキャストには数多くの新人が起用されたほか、中国を代表する俳優の一人、黄渤(ホァン・ボー)が姜子牙役を、往年のアイドル・費翔(クリス・フィリップス)が紂王役をそれぞれ演じています。

【6位】ネバーギブアップ(原題:八角籠中)
公開日:2023年7月6日
監督:王宝強(ワン・パオチャン)
主演:王宝強(ワン・パオチャン)陳永勝(チン・ヨンション)史彭元(シー・パンユエン)王迅(ワン・シュン)

 王宝強(ワン・パオチャン)監督&主演作は大ヒットを記録し6位に。王宝強にとって、2017年の『大閙天竺(Buddies In India)』以来6年ぶりとなる2本目の監督作品です。王宝強演じる男が、地元の「留守児童」(両親が出稼ぎに出ている農村の子供たち)を連れて活路を見出す物語です。

【7位】長安三万里~思い出の李白~
公開日:2023年7月8日
監督:謝君偉(シエ・ジュンウェイ)鄒靖(ゾウ・ジン)
主演(吹替):楊天翔(ヤン・ティエンシャン)凌振赫(リン・ジェンハー)呉俊全(ウー・ジュンチュエン)宣暁鳴(シュエン・シャオミン)

 国産アニメのヒットを連発するアニメ制作スタジオ「追光動画」による新シリーズ「新文化」の第1弾が2023年のNo.1アニメ映画に。安史の乱勃発数年後、吐蕃軍が唐の西南部を侵攻する歴史を背景に、当時、節度使を務めていた詩人の高适と、中国唐代を代表する詩人で「詩仙」の異名で知られる李白との友情ストーリーを描いています。

【8位】熊出没·伴我“熊芯”(Boonie Bears:Guardian Code)
公開日:2023年1月22日
監督:林永長(リン・ヨンチャン)邵和麒(シャオ・ハーチー)
主演(吹替):張秉君(ジャン・ビンジュン)譚笑(タン・シャオ)張偉(ジャン・ウェイ)

 お正月アニメの定番、「熊出没」シリーズの最新作。本シリーズは中国東北部の山林地帯に住む熊の兄弟「熊大」と「熊二」、それに坊主頭の木こり「光頭強」とのかけがえのない日々を描いたもので、2012年にテレビアニメとしてスタートし、親子連れで楽しめる作品として人気を博しました。本作はシリーズ通算9作目に当たり、主人公たちが振興島という島のロボット研究所を見学した際に、数年前の大火事で生き別れた「熊大」と「熊二」の母の手がかりを見つけるというストーリー。

【9位】堅如磐石(Under the Light)
公開日:2023年9月28日
監督:張藝謀(チャン・イーモウ)
主演:雷佳音(レイ・ジャーイン)周冬雨(チョウ・ドンユイ)張国立(チャン・グオリー)于和偉(ユイ・ハーウェイ)孫芸洲(スン・イージョウ)、李乃文(リー・ナイウェン)、許亜軍(シュー・ヤージュン)

 『満江紅(Full River Red)』以来9カ月ぶりとなる張藝謀(チャン・イーモウ)監督の2023年第2作。張藝謀作品には珍しい、現代が舞台のクライムアクションです。秘密裏に進む巨大な利権に絡んだ犯罪を暴くため、一介の刑事が奔走する様子を描くもので、主演に抜擢されたのは『満江紅(Full River Red)』にも出演した人気俳優の雷佳音(レイ・ジャーイン)。張藝謀作品では初主演です。

【10位】人生路不熟(Godspeed)
公開日:2023年4月28日
監督:易小星(イー・シャオシン)
主演:喬杉(チャオ・シャン)范丞丞(ファン・チェンチェン)馬麗(マー・リー)張婧儀(チャン・ジンイー)常遠(チャン・ユエン)

 日本でも公開された『肆式青春/詩季織々』(2018)などの易小星(イー・シャオシン)監督による新作喜劇が中国本土でロングヒットを記録。トラックドライバーの男性が、自分の娘の婚約者である男を気に入ることができず、さまざまな「試練」を与えることに。男の方は、婚約者の父親の御眼鏡にかなうために必死に対応。そんな駆け引きが繰り広げられる中、事態が収束できなくなっていく様子を描いています。

(ミン・イヒョウ、謙)

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