北京
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陝西省咸陽博物院では昨年12月28日から、新春を迎えるに当たっての「咸陽竜文物賀歳展」が行われています。この展示会は「竜形初成 神性確立(竜の形の形成と神性の確立)」「神竜変化 衆生推崇(神竜の変化と人々の崇拝)」「皇家独享 竜的伝人(皇家の独占と竜を伝える者)」の3部分からなり、計95点の貴重な文化財が展示されています。時代としては西周時代(紀元前1046-同771年)から明代(1368-1644年)や清代(1644-1912年)まで、さらに中華民国時代(1912-49年)にかけてのそれぞれの特色のある竜の文化財が集中的に公開されています。
竜の形の取っ手がある銅製打楽器の「銅竜鈕錞于」
この戦国時代(紀元前5世紀-前221年)の「銅竜鈕錞于」は、中国全国で唯一の、竜を取っ手にした錞于(じゅんう)という青銅製の打楽器で、古代の軍隊で使用されていました。この「銅竜鈕錞于」は、全体に雲の文様が施されており、その竜形の取っ手は斉魯、呉越、巴蜀といった文化圏で出現した縄の取っ手、獣の取っ手、虎の取っ手とは異なっている非常に貴重なものです。
竜紋を施した前漢時代(紀元前206-紀元8年)の中空のれんがの「西漢竜紋空心磚」
この「西漢竜紋空心磚」は咸陽市東塔爾坡碱灘の前漢時代(紀元前206年-紀元8年)の墓から出土しました。正面の長方形の枠内には単一の線による陽紋の双竜が焼成されています。竜は体を曲げ、頭は別の竜の尾の方向に振り返っています。2匹の竜の尾は、中心部にある円形乳釘紋(文様の一種。青銅器の最も単純な文様の一つで、突起した乳様突起が一列または方陣に並ぶ)の玉璧(古製の器具の一種)を中心に絡みあっています。この双竜は獰猛で威勢があり、生き生きとしたイメージで想像力に富んでいます。
「竜」は十二支中で唯一、現実の動物ではなく、「万物に霊がいる」と信じた古い華夏の民が想像し幻想したものであり、いくつかの動物の特徴が集められています。竜は中華文明の神秘的な信仰であり、文化の記号でもあります。「竜」は今日に至るまで中華民族の象徴でありつづけてきました。中華民族の人々は、「自分は竜の伝承者である」と考え、そのことを誇りにしています。
なお、現在の日本では年の干支が元旦に切り替わる習慣ですが、中国では春節(旧正月、2024年は2月10日)をもって干支が切り替わります。(朱、鈴木)