【観察眼】中国10大流行語から“中国経済崩壊”を読み取るのはこじつけ!?

2023-12-14 16:35:14  CRI

 先週、中国の言語学関連の学術誌「咬文嚼字」が2023年の「中国10大流行語」を発表し、多くの日本メディアもこれを報じた。本来であれば、このような流行語は、日本の一般の人々が今の中国をより深く理解する助けとなるものだ。しかし、一部の日本メディアはこれらの言葉を悪意をもって解釈し、わい曲やこじつけをして、なんとか“中国経済衰退”論を唱えようとしている。

 例えば、今年の10大流行語に選ばれた「特殊部隊式旅行」。これは、主に若者たちが最低限の費用で時間と体力の限界に挑戦し、短期間にできるだけ多くの観光スポットを回る旅行スタイルを指す。時間的にも体力的にもハードなことから「特殊部隊式旅行」と呼ばれている。実際には景気回復が進む中国で、人々が積極的に生活を楽しむ様子を反映する言葉なのだが、一部の日本メディアは「“節約旅行”は中国経済の崩壊を示している」といった形で報道している。

 「節約」、つまりお金を使わないことは、不況を意味するのだろうか。節約は中国の伝統であり、日本を含む東アジアの人々に共通する美徳でもある。「節約」を「経済崩壊」と関連付けるのはいかにも無理がある。「特殊部隊式旅行」をする人たちの大半は、大学生や就職して間もない若者たちであり、経済的にあまり余裕がない。彼らは、親に頼らずに自分で旅行費用を工面しようと考え、費用の節約と豊かな体験が両立できるこの旅行スタイルをあえて選んでいるのだ。日本ではかなり以前から、多くの学生がアルバイトをしているが、これは彼らが本当にお金に困っていたり、日本経済が崩壊しているせいなのだろうか。

 「村超」も10大流行語に選ばれた言葉のひとつだ。この言葉を中国の不動産市場の不況と結びつける日本メディアもあったが、全く理解できない。「村超」とは、中国南西部の貴州省の村で開催される「農村サッカースーパーリーグ」の略称だ。大会は主に地元の村民が組織し、参加選手も村人たちだ。この農村サッカーはネットで人気に火がつき、現地に訪れる旅行者も激増した。1試合の観客数は最多で6万人以上、試合の関連動画のネット閲覧回数は480億回を超えている。開催期間中の観光客数は延べ520万人となり、観光収入は約60億元(約1200億円)に上った。これらのデータは経済衰退どころか、中国の農村経済の活性化の成果を反映するものではないだろうか。

 では、実際に中国経済はどうなっているのだろう。数字は嘘をつかない。今年第1~3四半期の中国のGDPは前年同期比5.2%増の91兆3027億元(約1810兆円)となり、成長率は世界の主要経済体の中でトップを維持している。世界経済の成長に対する寄与度は全体の3分の1に達する見込みだ。また、一般消費財小売総額は同6.8%増の34兆2107億元(約678兆円)となり、消費市場も持続的に回復している。また、第4四半期に入り、中国経済はさらに好調を維持している。11月に開催された第6回中国国際輸入博覧会の年間契約意向金額は784億1000万ドルに達し、過去最高を更新した。11月11日前後に開催される中国最大のセール「ダブルイレブン」では、中国のネット通販大手各社はいずれも目覚ましい成果をあげ、注文件数と売上総額を伸ばした。

 国際機関も相次ぎ、中国の経済成長見通しを上方修正している。11月7日、国際通貨基金(IMF)が今年の中国の経済成長率予測を5%から5.4%に引き上げたのに続き、経済協力開発機構(OECD)も11月末に中国経済成長率予測を5.2%へと上方修正した。このほか、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、シティグループ、UBSグループ、ドイツ銀行など多くの金融機関も最近、今年の中国経済成長見通しを上方修正し、中国経済に「信任票」を投じている。

 一連のデータは、“中国経済衰退”論が憶測でしかないことを示している。いくら中国に泥を塗ろうとしても、憶測は単なる憶測にすぎず、現実にはならない。

 日本でも最近、今年の漢字が発表された。「税」だ。日本のネットユーザーからは、「収入は増えず、支出のみ増え、生活は困窮するばかり。諸外国であればデモが起こっても不思議ではない状況だ」「将来は明るい、経済はよくなるとはとても思えない」「今年の漢字は間違いなく”闇”だと思う。夢や希望が持てない今の日本の未来は、闇でしかない」といったコメントが寄せられている。

 日本の一部のメディアは、いつも中国経済の衰退や崩壊を口にしているが、自国の問題にもっと関心を持つべきではないだろうか。(CMG日本語部論説員)

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