【観察眼】中国は何を手にCOP28に臨むのか

2023-12-01 18:46:51  CRI

 2020年に開催された第75回国連総会で、中国は2030年までにカーボンピークアウト、2060年までにカーボンニュートラルの実現を目指す方針を初めて打ち出した。一方、フィンランドの首都ヘルシンキに本部を置く研究機関「エネルギー・クリーンエア研究センター」がこのほど業界や学界の専門家89人を対象に実施した調査によると、回答者の7割以上が「中国は2030年までにカーボンピークアウトの目標を達成する」と見込んでいることが分かった。昨年の調査時(69%)よりも中国の目標達成を楽観しているということだ。

 一部の海外メディアや国際機関が最近発表した報道や統計結果が、その理由を説明できるかもしれない。ブルームバーグは、中国は太陽光、風力、原子力、水力などの再生可能エネルギーによる発電量の急増によって2024年までに炭素排出量が削減され、その後も持続的に減少していく可能性があると報じている。英国の気候科学情報サイト「カーボン・ブリーフ」が先月中旬に発表した報告書も、新たな低炭素エネルギー設備の設置の記録的な増加に伴い、中国の二酸化炭素排出量は2024年までに削減され、構造的に減少する可能性があるとの見方を示している。国際エネルギー機関(IEA)は10月に発表した年次報告書「2023年版世界エネルギー見通し」の中で、「中国における石炭の地位は取って代わられつつある。今年は中国でわずか6カ月の間に新規設置された太陽光発電設備の発電量がドイツの全太陽光発電設備の容量を上回った。2025年には、中国は新たなエネルギー需要を、石炭火力発電に代わって風力と太陽光発電で十分満たせるようになるだろう」と指摘した。

 中国政府の公式データもそれを裏付けている。中国の石炭消費が一次エネルギー消費に占める割合が2012年の68.5%から2022年は56.2%に下がった一方で、非化石エネルギー消費の割合は2012年の9.7%から昨年は17.5%に上昇した。昨年末時点で、中国の再生可能エネルギーの発電設備容量は全国の発電設備容量の47.3%を占め、初めて石炭火力発電を上回った。

 また、2009年、中国は2020年の単位GDP当たりの炭素排出量を2005年比で40~45%削減することを約束したが、実際、2018年の時点で単位GDP当たりの炭素排出量はすでに2005年比で45.8%削減され、目標を前倒しで、しかも超過達成した。先月、中国政府は『メタン排出抑制行動計画』と『国家カーボンピークアウトテスト拠点建設計画』を相次いで発表し、温室効果ガスの一つであるメタンの排出に対するモニタリングと管理の強化、資源や発展の基礎が異なる都市や産業パークにおけるカーボンピークアウトの模索などについて具体的な取り組みを打ち出した。

 中国は気候変動に積極的に対応し、一連の成果を上げると同時に、国際協力を通じて自国の経験や技術を他国と共有し続け、世界のグリーン成長へのモデル転換をけん引してきた。今年9月までに、中国は発展途上国40カ国と気候変動に関する48件の協力覚書に調印し、累計で4カ所の低炭素モデルエリアの建設に協力し、75件の気候変動緩和・適応プロジェクトを展開したほか、発展途上国120カ国余りの気候変動対策担当の政府関係者や技術者2300人余りを対象に52回にわたる研修を実施してきた。

 気候変動に対応し、『パリ協定』の目標を実現するには世界が力を合わせなければならない。国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)が11月30日からアラブ首長国連邦のドバイで開かれているが、これに先立ち、中国と米国は「気候変動対応協力強化に関するサニーランド声明」を発表し、「21世紀20年代気候行動強化作業グループ」の立ち上げを宣言した。この声明はCOP28にポジティブなエネルギーを注ぎ込み、グローバル気候ガバナンスに向けた国際社会の信頼を高めた。

 COP28では初めて、『パリ協定』の目標達成に向けた世界各国の進捗状況を確認する「グローバル・ストックテイク」が行われる。その結果はどうなのか、先進国は途上国への気候資金提供に関するこれまでの約束を果たすことができるのか、中米両国のリーダーシップの下、各国は気候変動への共同対応について新たなコンセンサスをまとめられるのか、注目されている。(CMG日本語部論説員)

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