【CRI時評】「キッシンジャー氏の知恵」は米国に残された最も貴重な遺産である

2023-12-01 11:49:52  CRI

 現地時間11月29日、中国人民の古い友人である米国のキッシンジャー元国務長官がこの世に永遠の別れを告げた。享年100歳だった。第二次世界大戦後の米国で最も著名な外交官として、キッシンジャー氏は中米外交における接触、中東情勢の調停など多くの方面を推進し、卓越した貢献をした。北京時間30日、中国の習近平国家主席は米国のジョー・バイデン大統領にキッシンジャー氏の逝去を悼むメッセージを送り、キッシンジャー氏の名は永遠に中米関係と共にあり、キッシンジャー氏は永遠に中国人民から忘れられることはないと述べた。

 キッシンジャー氏の外交の知恵は、彼の世界史に対する深い理解に基づき、国際関係の法則に対する正確な把握から生まれている。一人の古典的な現実主義者として、キッシンジャー氏はイデオロギー的な偏見を超え、米国国内政治の偏狭さから踏み出して、米国の真の国益に基づいて、知恵に満ちた外交活動を展開することができた。

 中米関係の氷解を推進したことは、キッシンジャー氏の外交の生涯において最も注目される成果であることは疑いない。1971年、キッシンジャー氏はひそかに訪中し、中国側と協力して1972年のニクソン大統領の中国訪問を実現させ、「太平洋を越えた握手」を実現させた。キッシンジャー氏の訪中は50数年で100回を超え、中国人民の「古い友人」と言われている。

 今年の7月、習近平主席は北京で100歳の誕生日を迎えたばかりのキッシンジャー氏と会見し、彼が中米関係の重要な節目と中米関係正常化プロセスの始まりに携わって果たした重要な貢献を称賛した。

 キッシンジャー自伝の著者、米国バンダービルト大学の歴史学教授シュワルツ氏の見解では、キッシンジャー氏が米国政府に真にもたらしたものは中国に対する理解である。そして、こうした理解は中国の歴史文化を評価することによってもたらされた。キッシンジャー氏は、中国文化には拡張主義の傾向はなく、むしろ思慮深く、内向きな社会であり、米国は中国と接触すべきだと考えていた。

 中米関係が困難な課題に直面している現在の情勢下、米国はキッシンジャー氏のような米国内の政治的二極化を超えて中国の歴史文化を理解し、中米の共通の利益を客観的に捉えられるより多くの政治家を必要としている。

 1970年代、第4次中東戦争の際、キッシンジャー氏は限られた時間で関係国を集中的に往復し、停戦の促進に努力し、地域紛争が大国同士の危機にエスカレートするのを避けるとともに、後世「シャトル外交」と呼ばれるユニークな外交スタイルを作り上げた。

 現在、パレスチナ・イスラエルの衝突が再度エスカレートしている。キッシンジャー氏に対する人々の思いには、衝突と危機を同様の賢明な方法で解決したいという願いが託されているに違いない。(CRI論説員)

 

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