黄河の「几」の字型の蛇行は約125万年に出現と測定

2023-11-13 11:04:48  CRI

 中国科学院地質・地球物理研究所の龐忠和研究員ら中国の科学者による黄河流路の変遷と現代の黄河水系構造の形成をめぐる研究がこのほど、国際科学誌の「アース・アンド・プラネタリー・サイエンス・レターズ(地球と惑星科学論文集)」オンライン版に掲載されました。研究者らは地下水の精密な年代測定により、「現代の黄河水系構造の形成時期は約125万年前」との結論を得ました。

△秋の黄河壺口瀑布

 龐研究員によると、古黄河の流路は現在のように「几」の字型に大きく蛇行してはおらず、「一」の字型でした。学界では黄河の流路変遷について諸説が提出され、現在の流路が形成されたのは10万年前、約100万年前、500万年前など、さまざまな見方がありました。

 研究者らは今回、渭河盆地で古黄河が残した3500メートル以上の深さの地下熱水を採取することで、黄河の流路変遷と年代測定の問題に、より直接かつ正確な回答を出しました。研究者らはクリプトン81と塩素36を用いた測定法により、地下水の正確な年代確認に成功したとのことです。

 龐研究員は、「過去にもクリプトン81を用いた年代測定が試されたことがあったが、この不活性ガスは存在濃度があまりにも少ないために(測定には)莫大な水量が必要で、しかも測定結果はあまり正確ではなかった」と述べました。しかし、新たなレーザー冷却原子トラップ(ATTA)技術が開発されたことにより、地下水の年代測定に新たな突破口がもたらされました。ATTAは量子力学の原理にも関連する技術であり、今世紀初めに中国科学技術大学の盧征天教授により提案されました。この手法により10のマイナス16乗のレベルの濃度で存在する原子の高精度の測定が可能になりました。

 龐研究員が出した結論によると、現在の「几」の字型の黄河水系には125万年の歴史があることがわかりました。龐研究員は、「黄河の中流が現在の『几』の字型に変化した最初の原因は渭河盆地が引き伸ばされたことだ。インドプレートが北東方向に押し出され、チベット高原が隆起し、汾渭地溝帯に亀裂が生じて、そのことで河川の流れは大きな影響を受けた。さらに、オルドス高原と六盤山などの山脈の作用があった。六盤山が隆起して宝鶏峡を圧迫し、黄河の流路は変化せざるをえなくなったが、その下流が賀蘭山、陰山、呂梁山などに阻またために、次第に現在の「几」の字型になった」と説明しました。(ZHL、鈴木)


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