北京
PM2.577
23/19
中日関係の暗雲が晴れない状況が10年以上続いている。中日平和友好条約締結45周年を迎えた今も、両国関係は本格的な改善の軌道に戻っておらず、放射能汚染水の海洋放出問題でさらに行き詰まるなど、重要な岐路に立っている。
多くのアジア問題専門家は、中米関係の性質と状態が中日関係を決定すると考えている。しかし今後、中日関係の安定と緩和が実現できない状況が長期的に続く場合には、中米関係も同様の状態になるだろう。そのような中で、「日本の要素」が中米関係の戦略に影響を与える重要な変数になるとの見方もある。
その理由は二つだ。一つ目は、米国が中国の対日政策を、アジア太平洋における米国の戦略的意志と戦略的能力を試す「カギ」とみなす傾向が強まっていること。二つ目は、米国や多くの地域諸国が、日本の「再武装」を意図的に甘やかしていることだ。国際システムの日本に対する抑制は、第二次世界大戦後の最低レベルにまで低下した。冷戦終結後も国際システムの変化が中日関係に与える影響は依然として存在してはいるが、中日関係自体の相互関係の複雑さはすでに国際システムが関与できる範ちゅうを超え、中日関係の変遷はアジア太平洋の国際戦略構造を変えるますます重要な要素になっていると、専門家は考えている。
中日関係の安定に必要なのは戦略的見地と政治的知恵である。中日平和友好条約の第1条には、中日両国が恒久的な平和友好関係を発展させることが明記されている。今年、岸田文雄首相が李強総理に宛てた祝賀メッセージでも、まずこの点が強調されている。現在の時代背景の下では、中日両国の恒久的な平和友好関係は単なる「永遠の不戦」ではなく、アジアの未来を決める協力といえる。中日が衝突に向かうことは、両国民とアジア太平洋地域にとって最悪の事態である。従って、われわれは今、中日平和友好条約締結45周年を契機に、条約締結の初心を思い起こし、条約の共通認識を守るべきである。それは、平和や友好をただ唱えることではない。両国政府と国民は、地域の平和と安定に向けて知恵と力を出し合わなければならない。
中日関係の重要性は過去も今も未来も変わらない。安定的で互恵的な中日関係は両国にとって極めて重要であり、アジアにとって不可欠であり、世界にとっても重要な影響力を持つものである。そのため、両国関係の苦境から脱し、中日関係の未来を再構築し、中日関係の社会的基盤を再構築することに目を向ける必要がある。中日の政府と民間は責任を持って、計画的に接触と交流を展開し、国民間のアイデンティティーと親近感を新たに育むことで、歴史問題が引き起こした対立、国民感情の相互嫌悪、同盟政治によって深化した脅威意識を解消しなければならない。不安定な世界情勢の中では、“他人のために花嫁衣装を作る”(中国の成句。他人のために苦労をして報いられないことのたとえ)のではなく、積極的に両国関係を安定させ、手を携えて地域の平和を守ることこそが、両国と国民の最大の利益にかなう根本的な措置である。(CMG日本語部論説員)