【CRI時評】米議長選のドタバタ劇は終演ではなくまだ「序の口」

2023-10-27 15:22:44  CRI

 米国では現地時間10月25日、3週間も長引いていた政治のドタバタ劇に、ついに決着がついた。

 共和党のマイク・ジョンソン米連邦議会下院議員が220票を獲得し、新たな議長に選出されたのだ。ただ、この結果はあまりにも劇的だった。共和党の内紛により、推されていた3人の候補者が相次いで「転覆」し、選挙は二転三転した。このような筋書きは、おそらく優れた小説家でさえ思いつかないだろう。そこで、状況を振り返ってみるのもよいだろう。

 米下院では今月3日から、当時のマッカーシー下院議長が短期歳出法案について民主党と合意したことに不満を抱いた一部の共和党議員が手を組んで「造反」してマッカーシー議長を追い落とした。このことで、下院は機能しなくなった。その後は下院議長の空席を埋めるべく、メリーゴーランドのように「選挙芝居」が進行した。結局は25日に、共和党員による緊急投票を経て、下院副議長だったマイク・ジョンソン議員が当選した。

 なぜマイク・ジョンソンン氏なのか。ワシントン・ポスト紙は、このあまり知られていなかった保守派の人物が、トランプ前大統領の忠実な追随者であり続けたことに言及した。このことが、ジョンソン氏が共和党内の主流派のエスタブリッシュメントからも極端な保守派からも、共通して認められる人物である大きな理由という。しかし、ジョンソン氏が下院議員を6年しか経験していないという、口にはできない理由もある。通常ならば、米国の下院議長は平均して18年ほど下院議員を在任せねばならないとされる。ジョンソン氏はそのため、「140年余りを通じて、米国で最も経験の浅い下院議長」とメディアに評されるようになった。つまり、各派が影響力を行使して、それぞれが主張するように議事を推進する可能性があるということだ。このことは、米下院の「議長選劇」が終結していないことを意味する。「大芝居」は恐らく、始まったばかりなのだろう。

 米国の民主制度は理想に基づいて設計されている。すなわち、政治エリートは慎重で自制的で、個人と党派、国家の三者の利益のバランスをとることを心得ていることを前提にしている。しかし現実には、多くの議員が個人の利益を極端に優先して、党派や国益に配慮しない。そのため、米国ではこの理想に基づく制度と政治生態の現実との間に乖離が生じた。長年にわたりこのような状態が続いた結果が、党争と分裂だ。

 世界唯一の超大国の権力掌握者たる米国の政治家が最も備えるべき能力は、国の問題解決を助けることだが、現在の一部の政治家の最大の能力は問題を作り出すことだ。このことは、米国の若者に悪い手本を示すだけでなく、国全体の行動力を機能不全にする。米国の約束をやみくもに信用し、かつ「米国を後ろ盾にしている」同盟国も、目を覚ますべきではないだろうか。(CRI論説員)

 

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