北京
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23/19
中国を訪問中の米カリフォルニア州のニューサム知事はこのほど北京での記者会見で、米政界ではめったに聞かれない言葉を口にした。それは、「『ゼロサムゲーム』は非常に危険な観点であり、私はそれを認めない」「中国が発展すればするほど、われわれも発展する」「米中両国は競争関係にあるが、双方はこの関係にうまく対処できる」「『デカップリング』は米中両国にとって選択肢にはならない。両国の未来は密接につながっている」というものである。
ニューサム知事のこうした発言は、ワシントン側のヒステリックな「反中」ムードとは対照的だ。もちろん、ニューサム氏の今回の訪中の成功や中国に対する友好的な発言は、カリフォルニア州が長期にわたり中国と保ってきた経済、貿易、文化を含む友好協力関係と関連しており、また、今回の訪中の議題、例えば気候変動や経済協力、観光などはいずれもセンシティブな度合いが低い分野に関するものであるが、中米関係がこう着状態にある現在、こうした議題を設けることで、米国内の対中強硬派や反中勢力の関心と攻撃をある程度回避できるとみられている。
しかし、新型コロナウイルス感染症発生後初めて中国を訪問した米国州知事としてニューサム氏が訪中を実現させ、レベルの高い招待を受けたことは事実であり、これにより米国の州レベルの高官の訪中と協力拡大が促され、中米両国の現地交流が盛んになることが予想される。
今年6月以降、米国のブリンケン国務長官、イエレン財務長官、ケリー気候変動問題担当大統領特使、レモンド商務長官、シューマー上院院内総務が相次いで訪中したことにより、中米関係は安定化の兆しが見え始め、両国の地方レベルでの交流と協力の扉が再び開かれた。9月には、中米省・州経済貿易協力シンポジウムが中国のアモイ市で開催され、両国の地方政府の代表や商工界の関係者が両国の省・州レベルの経済貿易協力の強化について突っ込んだ討論を行い、グリーン・低炭素分野における製品の貿易、技術交流、投資協力の推進の検討を行った。また、10月には、中米持続可能な農産物貿易フォーラムおよび貿易契約調印式が米アイオワ州の州都デモイン市で行われ、両国の企業によって10数件の契約が結ばれた。
このほか、中米両政府は定期的または不定期に会合を開いて経済・金融分野の問題について意思疎通や意見交換を行うために、9月に経済作業部会と金融作業部会を設置した。こうした動きは経済・金融協力の強化に対する双方の意欲を表しており、中米関係により多くの実質的な成果をもたらすことが期待されている。
そしてまさに今、王毅中国共産党中央政治局委員兼外交部長が、ブリンケン米国務長官の招きに応じて米国を訪問中だ。今月26日から28日までの日程で、米政府高官と中米関係および共通の関心事である国際・地域問題について踏み込んだ意見交換を行い、米国各界の人々と友好的な交流を行う。中米両国のこうしたハイレベル交流が両国関係を健全かつ安定した軌道に戻すことに期待が寄せられている。
米国が善意を示し、中国も前向きに応じた。中国と米国という二つの大国は、頻繁な交流を通じて世界二大経済大国の関係改善の勢いを世界に見せると共に、ロシアとウクライナの紛争、パレスチナとイスラエルの紛争、景気低迷といった共通の課題に世界が協力して対応するために希望をもたらした。中米関係の紆余曲折の歴史が繰り返し示してきたように、中米両国の衝突、デカップリング、冷戦対立には前途がなく、望ましくないことである。両国の間には意見の相違や競争はあるが、協力の力は対立よりもはるかに大きい。米国は中国と共に協力に目を向けてこそ、世界が一日も早く苦境を脱し、より良い未来を迎えられるよう後押しすることができるだろう。
もちろん、2024年の米国大統領選挙を背景に、中米関係の健全で安定した発展に向けた雰囲気を再構築し続けられるかどうかは、バイデン政権の実際の行動次第である。(CMG日本語部論説員)