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共和党が多数を占める米議会下院は現地時間10月3日、216対210という投票結果でマッカーシー議長を解任した。米国の歴史上、下院議長の罷免動議は極めて異例で、解任された下院議長はマッカーシー氏が初めだ。
現地時間9月30日、マッカーシー下院議長は土壇場で民主党と連携してつなぎ予算法案を通過させることを決定したが、法案には共和党保守派が主張する連邦支出の大幅削減や国境管理強化などの内容が盛り込まれなかった。これが彼と共和党内保守派との矛盾を直接的に激化させた。
現地時間10月2日の夜、共和党強硬派のマット・ゲイツ議員が議長解任動議を提出した。理由は「マッカーシー議長は民主党のために奉仕している」というものだった。まさに多くのアナリストが指摘しているように、米国の政党間の先鋭化した対立と党内の派閥抗争の激化が、マッカーシー議長退陣の重要な原因になった。
ロイター通信は、マッカーシー氏がバイデン大統領に対する弾劾調査開始を主張したことが民主党を激怒させたと指摘している。こうした状況下で、彼はつなぎ予算法案で民主党と協力したにもかかわらず、多くの民主党議員が最終的に彼の解任に賛成票を投じた。
一方では、現在の米議会下院の勢力図から見て、共和党内の派閥争いが今回の解任投票にとって重要な役割を果たした。米国政界では、マッカーシー氏は「カメレオン」と呼ばれている。その意味は個人的な政治的利益を重視し、立場が一貫しないということだ。共和党の保守強硬派は常々、マッカーシー氏は政策問題において原則が欠如しており、民主党に対して「軟弱」、ないしは「日和見主義」ですらあると考えている。今年1月、彼は15回もの投票と共和党保守派への多くの重大な譲歩の結果、苦労の末に下院議長に当選した。これは米議会下院の164年に及ぶ歴史の中で最も時間を費やした選挙であり、マッカーシー氏本人の権力を著しく弱体化させただけでなく、この後の米国式民主主義に混乱の種をまいたものだ。
米国の学者であるフランシス・フクヤマ氏はかつて、米国の体制には明らかに問題があるが、「自主的に改革することはできないようだ」と述べた。一握りの保守強硬派議員が党派間の争いによって下院議長の人選に影響を与えることができるということが、現在の米国政治の病的な状態を表している。米国の政治が一部の人間の私利私欲に奉仕し、米国の民主主義が「権力のゲーム」に成り下がるとき、米国の政治家が苦心して築いてきた「デモクラシーの物語り」にどれほどの信頼性と説得力が残っているだろうか。まさにフランスの政治学者でモンテーニュ研究所特別顧問のドミニク・モイジ氏が指摘したように、政治の二極化の激化が米国をまひさせかねず、米国の民主主義は既にほとんど「負の模範」と化してしまったのである。(CRI論説員)