北京
PM2.577
23/19
欧州連合(EU)欧州委員会のフォンデアライエン委員長が中国製の電気自動車(EV)に対する反補助金調査を開始すると発表したことを巡り、欧州内ではここ数日、激しい議論が巻き起こっている。ドイツの自動車業界は、この措置が関税合戦を引き起こし、自国の自動車産業の長期的な利益を損なうことになるのではないかと懸念している。EUの決定を巡っては、公平な競争を恐れる欧州の一部の人の心理状態を反映したものだというのが、西側世論の一部の理性的な声だ。
欧州のメディアによると、EUの指導者が発表したこの決定に対し、ドイツとフランスというEUの二つの経済大国の態度は大きく異なっている。フランスの政府と自動車業界がEUの関連政策導入を支持する一方、ドイツの自動車業界は明確に反対を表明している。その原因は単純だ。ドイツの自動車業界の中国市場における利益はフランスのそれよりはるかに大きいため、EUの関連政策が自国に多大な損害を与えかねないことをより懸念している。このことは、EUが理性的でバランスの取れた観点から欧州全体の利益を考慮していないという側面を反映している。ドイツの経済誌ウィルトシャフツウォッヘは、中国製EVに対する調査開始の決定は「政治的要因」によるものとの見方を示している。
中国製EVのEU市場シェアは約8%と決して高くはなく、まだ局面打開に努める段階にある。価格について見ると、中国の主なEVブランドの欧州市場での販売価格は総じて中国国内市場よりも高いが、欧州の地元ブランドとの比較において価格面での優位性があるにすぎない。従って、EUが中国製EVに対する反補助金調査を開始する理由は成り立たない。
伝統的な燃料自動車製造の要衝である欧州は、EVなどの新エネルギー車の製造と研究開発への転換速度が中国や米国などに比べて遅れている。一部の欧州諸国と大手自動車メーカーは、欧州市場が中国の新エネ車に占領されるのではないかと懸念している。恐らくこれこそが、EUが調査を開始する真の意図だろう。実際、欧州は世界における自動車の重要な製造拠点であり、ブランド、人材、技術が蓄積されていて、EV産業をより強く、より大きくするための有利な条件が数多くそろっている。欧州は、外部との競争に泰然として構え、公平な市場環境の中で自らの産業競争力を高める自信と度量を持つべきだ。
複数の消息筋によると、EUの中国に対する反補助金調査は数カ月に及ぶ可能性があり、調査結果を受けて中国製EVへの懲罰的関税を課すかどうかは表決手続きを経て決まる。これは、欧州側にまだ偏向を正す機会があることを意味する。一国主義と保護主義が台頭する国際情勢に対し、中国と欧州に求められるのは、対話と協議を通じて意見の相違を解消し、貿易保護主義に共同で反対し、グローバルな産業チェーンとサプライチェーンの安定を維持することだ。これこそが歴史の潮流と市場の法則に沿ったアプローチだ。(CRI論説員)