【CRI時評】「ゼロダラーショッピング」「フラッシュモブ強盗」はなぜ起きたのか

2023-09-19 11:35:17  CRI

 「フラッシュモブ強盗は実は組織犯罪だった」。米国のSNS上ではここ数日、投稿を引用して怒りを表明する再投稿が相次いでいる。フラッシュモブ強盗とは、SNSを通じて組織化されたグループが、商店に押し入り、商品をつかみ取れるだけつかんで逃走するというものだ。米国人はこうした行動をあざけって「ゼロダラーショッピング」とも呼んでいる。

 全米小売業協会の報告書によると、2022年の全米の組織的万引きは21年比26.5%増加した。組織的万引きなどの「失われた在庫」による21年の米小売業界の損失額は945億ドルに上り、20年の908億ドルを上回った。こうした災いに対し、小売業者は商品に鍵をかけることを余儀なくされている。米国の大手百貨店、薬局チェーン、住宅建材小売業者は相次いで財務報告で懸念を表明した。

 こうした現象は、米国経済の最近の「好成績」とはあまりにも対照的だ。米商務省によると、今年上半期の国内総生産は前期比2%余り増え、外部からは「予想を上回る」との評価もあった。しかし現実は戸惑いを感じさせるもので、米エネルギー情報局によると、今年1~5月の電力消費は、商業向けが前年同期比3%減、工業向けが同2%減、家庭向けが同7%減と、軒並み減少した。

 一般的には、景気が上向けば関連する経済活動や住民活動も比較的活発になるはずだ。なぜ米国の経済データには矛盾が生じているのか。これを受け、「米国の景気は結局、良いのか悪いのか」について激しい議論が交わされるようになった。

 フラッシュモブ強盗を巡っては、米国社会における巨大な貧富の差を反映した現象だとの分析もある。米連邦準備制度理事会によると、21年第4四半期時点で、米国で最も裕福な上位1%の総資産額が過去最多の45兆9000億ドルに達し、新型コロナウイルスの流行期間中に12兆ドル余り増えた。他方、米国の20年の貧困率は11.4%で、前年から0.9ポイント上昇した。米国では現在、3700万人が貧困ライン以下で生活している。

 米国商工会議所のニール・ブラッドリー副会頭によると、米国では小売業界が毎年、雇用全体の4分の1を提供している。小売業界の損失は必然的に米国経済に損失をもたらす。「ゼロダラーショッピング」や「フラッシュモブ強盗」といった現象の発生は偶然ではなく、それが反映しているのは、米国経済の構造的欠陥と社会ガバナンスの欠如だ。(CRI論説員)

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