【CRI時評】太平洋の沿岸国には日本政府への放射能汚染水賠償請求権がある

2023-08-26 17:25:58  CRI

 「日本政府は私たちの国民、私たちの海と私たちの経済を傷つけた」「私たちの子や孫を裏切った」「私たちは、海洋放出は『問題ない』という政治家は信じない」福島の放射能汚染水の濁流が連日、こんこんと太平洋に流れ込むのにつれて、沿岸国からの非難の声が波のように押し寄せている。かつて放射能汚染の被害を受けたマーシャル諸島などの島国にとっては、日本の行為は彼らの苦痛に満ちた記憶をいっそう呼び覚ますものだ。

 マーシャル諸島は太平洋中部に位置し、第2次世界大戦後は米国の海外核実験場に成り果て、長期間、放射能の苦しみを味わった。米国の「ロサンゼルス・タイムズ」は2019年に、米国は1946年から1958年までの間にマーシャル諸島で67回の核実験を行い、太平洋の島々や海洋生態および人々の健康に深刻な被害をもたらしたという記事を掲載した。

 古傷が癒えないのに、また新たな傷が加わった。日本政府が2年前に海洋放出計画を発表した後、太平洋の島しょ国は即座に反対を表明し、これは彼らに新たな被害をもたらすものだと批判した。マーシャル諸島は日本政府に対して代替案を探し、海洋環境の保護という国際的な義務を果たし、太平洋を核のゴミ捨て場にしてはならないと幾度も要求した。現地の人々は、日本の「他者への配慮の欠如は理解しがたく、許しがたい」と述べている。

 法的には、ある国による放射性廃棄物の海洋投棄の規制については多くの国際条約の規定がある。日本は「公海条約」「国連海洋法条約」「原子力事故の早期通報に関する条約(早期通報条約)」「廃棄物投棄に係わる海洋汚染防止条約(ロンドン条約)」など多くの国際条約の締結国であり、条約の規定に違反したのだから当然、国家としての責任を負い、太平洋の沿岸国に賠償しなければならない。

 実務的には、こうした放射能汚染に対する責任追及と賠償請求の前例はないわけではない。1970年代には、フランスが南太平洋で洋上核実験を行ったことで、オーストラリアとニュージーラドから国際司法裁判所に提訴された。今世紀初頭には、英国が海底核廃棄物問題でアイルランドから国際海洋法裁判所に提訴された。1986年には米国とマーシャル諸島が「自由連合協定」に調印し、核実験によって地域住民に生じた財産的・人的損害を補償する責任を負うことに合意した。1988年に設置された国際仲裁法廷は米国にマーシャル諸島に対して23億ドルを賠償するよう命じている。

 太平洋沿岸諸国がこうした事例を参考にして、自国が受けた被害状況の科学的評価に基づいて、自身の権益を守るために日本に対して法的武器を取ることができるのは明らかだ。

 日本政府は常々、「海洋における法の支配」をアピールしているが、世界の世論を無視する危険を冒してまで汚染水の海洋放出を強行したことは、事実上法の支配という精神を踏みにじり、いわゆる「海洋保護」の理念が偽善であったことを暴露した。「放出して終わり」の日本は既に自身を国際的な被告席に置いている。その先に待っているのは、太平洋沿岸国の糾弾、責任追及と賠償請求であり、歴史的な審判である。(CRI論説員)

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