【観察眼】BRICSは名実ともに世界最大の平和的協力体に発展して欲しい

2023-08-21 15:43:19  CRI

 8月22日から24日まで、南アフリカでBRICS首脳会議が開催される。BRICSは内政不干渉、平等、互恵(相互利益)」を原則としている。この組織は平和的な協力組織で、軍事同盟ではない。またこの組織は他国、あるいは他国の集団に反対、攻撃するものではない。 

 BRICSは発展途上国の代表として、2009年以来着実に発展してきた。参加国は依然として発展途上国だが、その規模は膨大で、面積は世界の32%、人口は世界の43%を占める。またGDPは、購買力平価で世界の30%を超え、すでにEUや米国を上回っている。 

 BRICSは平和的、協力互恵の実効性ある地域協力体として、その信頼性は日増しに高まっている。 

 今世界では2つの潮流の矛盾、闘争が展開されている。それはグローバル化と反グローバル化、多国間主義と一国主義、自由貿易と保守貿易、協力互恵と排除攻撃との闘いである。第2次大戦以降、長期に渡り西側先進国が世界の政治、経済、軍事を牛耳り、支配してきた。「G7」は1980年代後半には世界のGDPの7割を占めてきた。その後中国などの発展途上国の台頭で、G7の影響力は徐々に低下していった。現在G7のGDPはすでに50%を下回り、2022年の時点で43.7%まで落ちている。その一方で、BRICSに代表される途上国の発展は速い。1990年代初頭、BRICSのGDPは世界のわずか7%であったが、2022年には26%にまで高まった。他の主な途上国を入れると、G7に並ぶまで発展した。つまり経済面だけを見ても、世界経済はG7が支配する時代は終わったのである。少なくともG20でなければ、世界の主要な経済問題は解決することが出来ない。 

 このように、今世界は大きな転換期を迎えている。米国をはじめとするG7が世界の政治、経済、軍事を支配する時代は終わりつつある。新興の途上国群が旧先進国に迫り、力は拮抗しつつある。世界は旧体制、旧秩序から新体制、新秩序に移りつつある。 

 このような状況の下で、世界の多くの人々がBRICSに期待するのは以下の点だと思う。 

1.BRICSが引き続き内政不干渉、平等、互恵の原則を順守し、協力を強化し、隊伍を拡大し、平和的地域協力体として量的、質的に発展して欲しい。 

2.BRICSがグローバル化の流れを前向きにとらえ、多国間主義、自由貿易の原則の下に、他の発展途上国と連携し、これから発展する国々を援助し、世界的範囲で進歩、発展と平和のために尽力して欲しい。 

3.特定の国をターゲットとした軍事ブロック、軍事同盟は冷戦の遺物である。そのような時代は過ぎ去った。BRICSは一部の国がやっている「攻撃と排除」に反対すると同時に、旧先進国と新興工業国、発展途上国との関係を、対立から協調協力へと導く役割を担って欲しい。 

4.中国の提唱した「一帯一路」は、一部の国が中国攻撃のために言うように、「中国による、中国のためのもの」ではない。参加国すべてのものであり、参加国すべてが共に努力し、共に価値を生み出し、共に成果を分かち合うものである。この一帯一路を成功させるために、BRICSは力を合わせ努力して欲しい。この構想が成功すれば、多くの国はより豊かになり、世界は繁栄と「貧困撲滅」の方向に進むであろう。 

5.BRICSはBRICSの精神を堅持しながら、BRICSの枠を越えて発展して欲しい。BRICSは5か国だが、それにアジア、アフリカ、南米の国々を加え、名実ともに世界最大の平和的協力体に発展して欲しい。そして、分断、対立、排除は世界を衰退させ、統一、協力、団結こそ安定と繁栄を生み出すものであると、実際行動で証明して欲しい。 

6.BRICSは依然さまざまな課題を抱えている。BRICSを取り巻く国際環境は厳しく、複雑である。しかし、各参加国の努力で、障害を乗り越え、着実に隊伍を量、質共に発展させ、人類の共通課題である環境、気象変動、パンデミック、自然災害、水資源、食糧などの面で更なる貢献をする事を期待する。 

2023年8月16日 西園寺一晃(東日本国際大学客員教授)

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